電気ストーブ ダイキン工業セラムヒート

「暖房器具の決定版って見つからない。」 数年間使ってきた石油ファンヒータの調子が悪くなり、今年の冬の暖房をどうするか検討していて思うことはこれだった。空気が汚れず、暖かくなり、コストも安い。そんなものはなかった。暖房能力が高いものは空気を汚すし、空気が汚れないものはランニングコストが異常に高くつく。また部屋全体を暖めるもの、局所的に暖めるものなど用途ごとに暖房器具を使い分ける必要があり、1台あればOKなんて都合のよいものはなかった。家にある暖房器具をみると、実はいろいろあったのね。石油ファンヒータが2台に、石油ストーブ、こたつ、エアコン、セラミックファンヒーター、電気カーペット、電気毛布に湯たんぽなどなど。昨年使ったのは石油ファンヒータと湯たんぽだけだった。暖房器具があれこれあっても不満が多く、結局使ってないものが多い。ちなみに湯たんぽは好きで、もっと見直されてもいいのではないかな。

で、昨年の主力暖房器具である2台ある石油ファンヒータのうちの1台は購入してから2年目で調子が悪くなり、点火してもすぐに消えてしまうという状態。原因は不明だが、灯油が悪いという説もある。それに最近の石油ファンヒーターはすぐに壊れるという話も聞く。そもそも灯油を使った暖房器具は暖房能力は高いが、空気が汚れてしまうのが気に入らない。また灯油を買うのって結構面倒。価格もガンガン上がってしまった。それに住んでいる長久手町はそれほど寒くはないので、暖房能力は低くていいや。という考えもあった。

灯油をやめて、ガスをスルーして、電気を使った暖房器具の検討へ。昔からなんとなく憧れていたデロンギのオイルヒータも検討するが、数時間1500Wで運転してやっと部屋が暖まってくるらしく、電気代が半端ではない。これでは計画的な使い方が必要になるし、いつブレーカーが落ちるか分からんという使い勝手の悪さから却下。

一方電気ストーブはいろいろなものが出揃っている。最近、扇風機のような暖房器具も見かけるが何かおかしい。扇風機を連想するので、寒そうなスタイルがまずいただけない。さらに照明器具のようにまぶしい。暖房器具としてはそれなりに暖かいようだが、家で使いたいと思えるものではなかった。

他にも知らないうちにさまざまな熱源が登場していて、それなりに進化しているのが電気ストーブ業界のようだ。そんな中、ここ数年で注目されているのが、このセラムヒートらしい。遠赤外線を多く放射するので、体の芯からあったかくなるという。本当かどうか量販店でチェック。確かに体感できてしまうほど他のストーブとは明らかに違っていた。2006年冬には、同じようなタイプの電気ストーブが数社から出るようだが、数年モデルチェンジを繰り返し、改善されているであろうダイキン工業製を買うことにした。他の電気ストーブが1万円前後の中、セラムヒートは3万以上とけっこういいお値段だが、納得できる能力は持っていると思う。

セラムヒートのレビュー
まだ本格的な冬を迎えていないが、ちょびちょび使い始めたので、その感想を書いてみたい。

まずは手軽に点けたり消したりできるのが電気ストーブの利点。これは石油ファンヒーターでは無理な話。そして持ち運びも楽々。6kgの本体は扇風機のようにひょいと持ち上げて、隣の部屋へ持っていくということが簡単にできる。スポット暖房なので、基本的には常に人と一緒に移動する使い方になる。使い方はまさに扇風機。ただし、持ったときのバランスはよろしくない。

操作性:ツマミがふたつあって、それで電源のON/OFF&タイマーと、温度調節を行う。タイマーはリラクタンス形シンクロナスモータのようで最近はあまり見かけないもの。交流電流の周波数に同期するモータなので、50/60Hz両方存在する日本では扱いにくい。セラムヒートでは目盛りを50/60Hz両方印刷することで対応している。また耐久性は抜群だ。極めてアナログチックで今の時代によく商品化まで漕ぎ付けたと感心してしまう。設定がすぐに初期化されてしまうデジタル制御は個人的に嫌いなので、こういうシンプルでダイレクトな操作パネルはひじょうに好感が持てる。パネルまわりの雰囲気は、ちゃちいけど。

暖房能力:基本的にはスポット暖房。部屋全体を暖めるものではないけど、小さい部屋ならそこそこ温まりそうだ。温度調節が1~10まであるのだが、11月半では、3までしか使っていない。この3の状態でもセラムヒートの前にいる分には充分あったかく、そのうち体の中からぽかぽかして、手先まであたたかくなる。一度体があたたまってしまえば、ストーブを消してもしばらくは体があったか。これが遠赤外線の効果のようだ。

まぶしくない。温度調節3程度では、両サイドの熱管は光らず、点いているのかどうかもよく分からないぐらい。真ん中の熱管は常に赤くなる。2006年モデルから採用された中央の熱管だが、両サイドよりも細い管を採用して赤く光らせることで、点いていることを強調したかったのだろう。その周りには、まぶしさ防止のためか、電子レンジのようなパンチングの網がある。それともひょっとしたら有害電磁波防止対策か?なぞだ。 まぁ暗い部屋で使うには、まぶしくないヒーターはいろいろ都合がよい。ヒータが派手に赤くならないので、一見点いているかどうか分からないことがあり、従来のストーブに慣れていると戸惑いもあるが、パネル面にある電源ランプは点くので、そこでON/OFFの判断をすればよい。慣れてしまえばメリットに感じられるはずだ。熱管の出力は両サイドが各500Wで、中央は100Wのようだ。

ストーブのガード部分は、少しぐらい触ってもやけどをするほど熱くはない。遠赤外線を中心に放射しているので金属には吸収されにくく、あまり熱くはならないようだ。 でも上の方は若干熱い。温まった空気が常時上昇しているので、その空気で熱せられているため。子供がいる家では熱くならないガードは安心だが、子供には普通のストーブでは火傷することを伝えておく必要がある。

11月は、まだそれほど寒くないので、セラムヒートをたまにつける程度の利用。本格的な冬を迎えたら、またレビューします。この冬はセラムヒートを中心に、調子の悪い石油ファンヒータも補助的に使い、あとは頼りになる湯たんぽで冬を乗り切ろうと思っている。

一ヶ月ほど使い続けてみて 061210
パネルの高さが使いやすいことに気づく。縦置きだと約70cmの高さに操作パネルがくる。この高さは座っていても操作しやすく、またパネル面も見やすい。立って操作するのも問題ない。

主にタイマーを使っている。連続運転は使わない。適当に回して切れるまで使う。切れたらまた適当に回しておく。切れても、体はポカポカあったかいので、すぐにONにすることはなく、しばらくほっとくことが多い。こうすることで消し忘れても、そのうち切れるし、OFFのままでいることも多いので意外と省エネにつながるような気がする。

ヒーター部は縦以外にも横向きにもなるが、今のところ使わない。

切れるときはタイマーのダイヤルからカチッという音がする。ファンヒーターはピーピー音がしてやかましいので、それに比べるとはるかによい。

2シーズン目の感想 080107
前回の冬も今回の冬も、暖房器具は、エアコン、セラムヒート、ホットカーペット、それに湯たんぽで何とかなっている。暖冬&長久手という立地もあるだろうが十分である。エアコンによる暖房は部屋を暖めるときに補助的に使うだけで、ある程度暖まれば後はセラムヒートかホットカーペットだけで何とかなる。エアコンだけでは暖かい空気は部屋の上にたまるだけで足元はいつまでも冷たいという状態で不快なので、こういう補助的な使い方がよいようだ。また石油ファンヒータは灯油が高騰したこともあって使うことはないだろう。

カチッという音の正体
セラムヒートはスポット暖房としては優秀だと思うので、知人にもお勧めしているが、カチッという音が気になるという話が出てきた。ネットで検索してみても、音が気になるという意見は多いようだ。個人的には音は気にならないのだが、そのカチッという音が何なのか、自分なりに考えてみた。分解して内部を見てみればはっきりするが、そこまでしなくても仕組みが見えてきた。

まず、セラムヒートには、以下の種類の音がある。
1 ジーというアナログタイマーの音(タイマー運転の場合)
2 たまにカチッという小さい音
3 タイマーが切れるときの、やや大きめのカチッという音
4 ヒーター自身が出すピキッという音 温度変化の際に鳴る音
5 モーターの音(首振りの場合)

どうも気になるというのは2番のカチッという音のことらしい。これは明らかにリレーというスイッチの音なので何かを切り替えているのだろう。説明書を眺めていると「接点を開閉」とあるので、実は温度調節のようだ。はじめセラムヒートの温度調節は無段階にヒータを調整しているのかと思っていたが、実は2段階だった。温度調節10ではカチッという音はしないと説明書にもあるので、10は1100Wの連続運転と断定できる。10以外では、おそらく1100Wと計算上200W程度を時間で切り替えていて、その切り替えの時間で温度調節を行っているようだ。この切り替えのたびにカチッという音がしている。

温度調節1では、55秒程度でカチッと音がして10秒後にビヨーンという音、そして55秒後にまたカチッと鳴る。その繰り返し。カチッという音はリレースイッチがONになる時の音。ビヨーン(もしくは若干カチッ)という音はリレースイッチがOFFになるときに出るバネの音。カチッという音からビヨーンの10秒が1100W運転で、残りは200W程度の運転のようだ。説明書にある330Whにも近い値になる。

温度調節2では、40秒でカチッと音がして、10秒後にビヨーン音。その繰り返し。200W時の運転が1よりも短めになることによって温度調節高めになるという理屈らしい。

温度調節6では、15秒でカチッとなって20秒後にビヨーン。1100W運転の割合が多くなる。

温度調節10では、1100Wの連続運転となる。

運転中のカチッという音の内訳はおそらくこんなところだろう。ちゃんと調べたわけではないが、それほど間違ってないと思う。ということで、ここで言いたいのは、たとえ温度調節を低くしていても、瞬間的(数秒間)には1100W運転がなされるので、他の家電との兼ね合いを考える必要がある。説明書には温度調整が低い設定では数百Wの電力と書かれているが、それを鵜呑みにすると瞬間的に1100Wの大電流が流れたときにブレーカーが落ちる危険性があるということ。うちでも何度かブレーカーを落としてしまった。その理由がコレだったとは・・・

電力を調べてみる 080111
上記の電力は、説明書にある値から算出したので当てにならない。そこで実際の電力を「Watt Checker」というものを使って測ってみた。また動作も上の通りかどうか確認してみた。

動作は上記の推測通りと確認。
電力は 970~1040W と、 260~275W の切り替えでした。(首振りOFF状態)
上記の消費電力は揺れていました。温度調節によっても多少違った。それでも平均していくと説明書の値に近い消費電力かそれ以下になるようだ。


温度調節

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

消費電力(W)

330

410

490

560

640

720

800

890

980

1100

ちなみに電源OFF状態では0Wでした。待機電力がないということ。
「Watt Checker」 株式会社計測技術研究所
http://www.keisoku.co.jp/
以下の項目を測ることができる機器。
実効電圧、実効電流、電力、皮相電力、電源周波数、力率、積算電力量、積算時間。

OEM製品で、サンワサプライの「ワットチェッカー」が広く出回っている。6000~7000円程度。