ギターのウルフトーン(共振周波数)調整

ギターを弾いていると、特定の音だけが妙に大きくボンと鳴ることがある。どうもギター本体の固有振動というか共振周波数と一致したときに鳴るようだ。所有しているタカミネのドレッドノートではG2(ギターで一番低いG)の音が大きくなる。下は6弦1フレットFから5フレットAまでを録音したもの。G2は他の音に比べて、音が大きいだけでなく、サスティーンがやたら短く、アルペジオなどを弾くと違和感を感じてしまう。クラシックの世界ではウルフトーンとか言うらしい。

ウルフトーン 101Hz


ウルフトーンの周波数を確かめる方法
弦が鳴らないようにしてから、ブリッジあたりを手でポンと叩いてやると、ギター本体がボンと鳴る。これを録音して周波数を分析すると、はっきりする。下のように101Hzが特に大きく、その2倍音202Hzあたりも、それなりに出ている。

ウルフトーン 101Hz 周波数スペクトラム


改善
本体のウルフトーンを取り除くことは不可能と思われるため、サウンドホールの開口率を下げることで、共振する周波数を下げようと思う。原理はバスレフスピーカーの設計と同じで、ヘルムホルツの共鳴原理から導き出せそうだ。スピーカーの設計公式を試してみたが、ギターとは大分違うようで思ったような数値が出ない。理論的な方法はとりあえず放置して、実際にテストしながらベストな開口率を探すことにする。基本的にはサウンドホールを小さくすると周波数は下がるはずである。現在周波数は101Hzなので、G2の97.99Hzに近く、この音がボンボン鳴ってしまう。そこで共振する周波数をG2とF#2の間まで下げることで、使う音にはあまり影響を与えないようにしようと思う。

ダンボールを使って部分的にサウンドホールをふさいでみた
下図はサウンドホールで、斜線部がダンボールでふさぐ部分。サウンドホールの開口率を下げると周波数も下がりはじめた。開口率を86%ぐらいにすることで、周波数が95Hzとなり、ちょうどG2とF#2の中間G2-50centとなった。


ウルフトーン 95Hz 周波数スペクトラム


他の音とのつながりを評価
6弦1フレットFから5フレットAまでを録音してみる。それなりに改善された。G2とF#2の中間がウルフトーンになっているので、影響はG2とF#2に分散された感じで目立たなくなった。改善前より違和感は少なく、サスティーンもそれなりに伸びて、ボンという感じの音も少なくなった。

改善前 ウルフトーン 101Hz


改善後 ウルフトーン 95Hz


今後
サウンドホールの開口率を変えることでウルフトーンをコントロールできることが分かった。ダンボールでは貧乏くさいので、近々ちゃんと工作しようと思う。


合板で小工作 110808
食べ物の入っていた箱を、カッターで切ってちょろっと作ってみた。合板の質が悪くて、すぐ割れるので、ちゃんとした材で作り直さないとダメだわ。でも機能的には問題なく、ウルフトーンが95Hzになって目的は達成。ダンボールよりはマシ。


その後、作り直す 120801
見た目を改善してみた。材料はアイス棒。アイス棒って品質がよくて工作には適している。塗装はエポキシを使ってコーティングした。一見ピックアップのようだけど、ただの共振周波数調整プレートです。