2013/12/23

ボイトレ 腹式呼吸

まずは呼吸から

発声を3つに分けるとすると、空気を送り込むエンジンとも言える呼吸と、音源に当たる声帯周辺、そして最終的な音質を左右するフィルター部の共鳴部だろう。 まずは呼吸法から整理しようと思う。

腹式呼吸の仕組みについて調べてみたが・・・

ネットや本を軽くだが調べてみて分かったのは、発声全般について言えることだが、あやしい情報がとても多いということ。そして感覚的で主観的な解説が多いので混乱を招きやすいと思う。 読んだ中で客観的だと思えたのは、音声言語医学の権威である米山文明の本だった。 ここでは、なるべく明らかな情報を中心にまとめてみた。

腹式呼吸と胸式呼吸の違い

呼吸はすべて肺の膨縮で行っている。肺自身は自ら膨らんだり縮んだりできないので、周辺の筋肉を使うことで運動を行っている。 呼吸は、よく腹式と胸式に大別されるが、実際には兼用されている。腹式呼吸は横隔膜の上下を優先させた呼吸で、胸式呼吸は胸郭の動きを優先させた呼吸であり、どちらに比重を置くかで呼び方が違ってくる。どちらかしか使わない極端な呼吸は無理と考えてよいと思う。

吸気(吸う息)

横隔膜は筋肉。筋肉は収縮しかできない。その筋肉が収縮すると横隔膜が下がり肺が膨らみ空気を吸うことができる。 そのときに、肺を取り巻くあちこちの筋肉(胸部、腹部、背中など)から力を抜いておくことで、最大限に肺を膨らませることができる。 横隔膜は吸気に使う専用筋肉であり、呼気(吐く息)には直接的に使えるわけではない。 生物としては酸素を吸うのが第一で、吐く方はそれほど重視されてないのがわかる。ちなみに横隔膜は哺乳類特有のもので、先祖の爬虫類にはない。 腹式による吸気は哺乳類としてはじめから重視されているので、実はそれほど難しくない。問題は息を吐く呼気の方だ。
吸気の際は、鼻から吸うのが自然で空気もたくさん取り込みやすい。実際にはゆっくり鼻から吸っている余裕がないときもあるので、そのときは口も兼用する。

呼気(吐く息)

吐くための専用筋肉はない。実際には、収縮して下がった横隔膜を緩めて定位置に復元して行くと、肺を圧縮して空気を吐き出すことができる。 しかし、これは単に横隔膜の緊張が解けて息を吐いているに過ぎない。ちょうどため息に近く、いかにも頼りない呼気だということがわかる。 呼気のための専用筋肉というわけではないのでこうなってしまう。 歌に使うような呼気であれば、横隔膜以外の胸郭、背中、腰周り、足周りの筋肉群も総動員する必要であり、複雑な連携が求められる。 それらの筋肉の使い方で吐く息の圧力や安定度に差が出てる。歌に使う呼気が難しいのは、筋肉の連携の複雑さに要因があると思う。

呼気のとき、お腹はへこまない

腹式呼吸で呼気を行うとき、お腹がへこむという話があるが、個人的にはへこませず、むしろ張らないと駄目だと思う。 鼻をかむとき普通はお腹はへこませずかんでいると思う。この方法がよいと思う。 へこませながらの発声では弱く不安定な発声になるし、喉を絞めやすい方向になる。 安定した発声を目指すなら、お腹は膨らませたままの状態で、背中や腰周り、内部の筋肉を肺の収縮に使う方が圧倒的に安定する。特に高い音域をそれなりに強く出すときは必須だと思う。

発声時の呼気と吸気

実際の発声においては、吸気よりも呼気に神経を集中する。音が出ている間は呼気なので当然のことではあるが、息を吐くという意識よりは、肺の中を一定気圧で満たすという感覚が個人的にはよいと思ったりする。本などを見ると、空気の流れのようなイメージしか伝わってこないのだが、それは結果であって、肺の中の気圧を高めてキープする方が科学的にもよろしいかと。勢いよく息を出したりすると声帯に負担がかかってしまう恐れもあるし。発声時の呼気のイメージとしては、寒いときに、は~と息を吹きかけるぐらいの勢いだろうか。
吸気においては、発声が終わったとき、肺を締め付けていた筋肉の緊張が解けて、ゆるむことで自然に空気が肺に入ってくる感覚も重要。

発声で利用できる肺活量の範囲

一般に腹式呼吸は、肺の容量を最大限に使った呼吸とも言えるけど、歌では肺活量よりも息を吐くためのコントロールが重要で、空気の吐く量を必要最小限にすることが求められる。声帯との話にもなるが、実際に発声させる場合は、呼気による空気の流れというよりも、声帯を境にした気圧差が重要になってくる。肺側の気圧を高め維持して声帯を調整すれば、勝手に音が出るというイメージ。息を無理して吐こうとしないところがポイントかな。
また呼気を効率よくコントロールできるのは、空気を目いっぱい吸った状態ではなく、もう少し吸えるぐらいの状態から、無理なく吐ける状態までで、それほど範囲は広くはない。息をもっと吐こうとすればできるが実用的な発声には使えない。

胸郭は膨らませておく

胸郭を膨らませたり、縮めたりして行う呼吸は胸式呼吸と呼ばれている。腹式呼吸では肺の容量を最大限に生かすために胸郭は膨らませておいて、積極的に動かさないようにする。そうすることで響きも違ってくるように思う。胸郭の動きを利用する胸式呼吸を積極的に使うと、首周り筋肉にも影響を及ぼすので好ましくない。

普段の動作にも腹式呼吸

経験的には、あくびしながら腕を伸ばすようなアクションは結構空気を吸っている。また上記でも書いた鼻をかむときの呼吸は、多くの人の場合、腹式になっている可能性が高いと思う。何気なく行っている普段の動作を客観的に観察すると効率よく体は動いているもの。それらは発声のための自然な呼吸のヒントになる。

姿勢

無理に理想的と言われる姿勢を作って発声するのは、返って不自然になるケースが多いので、どうかと思う。ごく自然に楽に深めの呼吸ができていれば姿勢も最適化されているはず。悪い姿勢では深い呼吸と安定した呼気はなかなかできないはずだから。 極論を言ってしまえば、安定した、よい音質の声が出ていれば、呼吸も姿勢も自然で理想的な状態になっている。見た目の部分よりも音で判断して修正していく方がよいと思う。個人の感覚の差も大きいので難しいところだが。

つづきは音源である声帯について

声帯まわりは解釈がそれぞれという感じなので、書きにくいのだが、個人的にはものすごくシンプルなものだと思っている。気が向いたら書いていこうかと思う。