関数電卓 CASIO fx-JP700 (第3世代自然表示)

電卓の世代交代は数年ごとで、2014年に発売された第3世代自然表示関数電卓は、日本語表示を実現。 また漢字表示のために液晶の解像度も上がり、処理能力も向上した。 地味な世代交代を繰り返していた関数電卓だったが、3世代目で、やや飛躍した印象。シリーズもESからclasswiz(クラスウィズ)に変更された。 自然表示関数電卓は初代fx-82ESが2004年発売なので、ちょうど10年後のモデルとなる。

今までHP35sをメインで使っていたが、電池が割とすぐに消耗するので、fx-JP700に切り替えることにした。 HP35sの逆ポーランドも面白いのだが、まぁやっぱり趣味的要素が強すぎる感じもする。他の人が使えないというのも、ちょっと問題だったし。

簡単な計算しかしないので、fx-JP500でもよかったのだが、数百円差だったのでfx-JP700にしておいた。購入価格は3171円だった。


関数電卓の入力タイプの歴史

改めて関数電卓の入力タイプの歴史を振り返ってみたい。基本的に以下の3つの大きな流れがあった。

1 標準入力タイプ:
最も初期の関数電卓のタイプで、数字に対して演算キーを押すと、ただちに計算される。長い式では履歴が残らないので間違えても分からない。現在ほとんど作られておらずカシオにはラインナップされていない。ただ一般電卓はこのタイプ。その延長線上で関数が搭載されたものと考えていいと思う。シャープとキャノンは、まだラインナップに残っているようだ。


2 数式通り入力タイプ:
「=」を押すまで計算されない。長い式にも対応でき、式の再利用が簡単。ただ電卓独自の記号を理解しないと、何の式が書かれているかも理解できないし、知っていても、本来の式を思い浮かべるのに苦労する。下の自然表示が出てくるまで主流だった。


3 自然表示タイプ:
カシオが2004年から販売したタイプで、各社参入している状態。手で書く数式と同じ見た目で表示され、「=」を押すまで計算されない。現在の主流と言ってよいと思う。 入力した式が分かりやすいのが最大のメリットで、式のチェックでは圧倒的に有利。 操作もマニュアルいらず。入力にはカーソルキーなどを使ったりしてキー押し回数は増える方向だが、メリットの方が大きい。


上記3つの、それぞれの良さというものはあるのだが、やはり手計算の式がそのままの、自然表示タイプの分かりやすさはピカイチだと思う。今後は、さらにマニュアル不要な方向に進化してもらいたい。


fx-JP700レビュー

本体を真上からみたところ。スクエアのボディは悪くない。以前は変な曲線を使っていて気持ち悪かった。
サイズ(奥行×幅×高さ) : 165.5×77×11.1mm
質量 : 90g

本体裏面はシンプル。電池蓋があるぐらい。電池はLR44。


悪いところ1 印刷文字が読みにくい

まずはじめに残念に思ったことを書いておきたい。 amazonのレビューにも多くの人が書いていることだが、 本体表面の凹凸加工のために照明が反射して印刷文字が読みにくいこと。 さらに文字の色が沈み気味で、サイズも小さすぎ、視認性をさらに悪くしている。 機能商品としては最悪の処理と言わざるを得ない。 昼の自然光下であれば、まぁなんとかなるとしても、条件が少しでも悪かったり、夜LED照明下では、まったく見えないという状態にもなる。これはいかんだろう。 メーカーは高級感とか言っているが、この手の商品にそんなものは必要ないわ! それよりもストレスなく確実に使えることが求められる。
実際に肉眼で見ると、下写真のように見えることが多く、表面凹凸加工で印刷文字が見にくくなっているのがわかると思う。「i」の紫なんて表面加工と同化している。

拡大してみると、こんなパターンがある。せめて印刷周りはパターンをやめようよ。


悪いところ2 カバーが変形している

次の悪い点としては、ケースが歪んでいるので、平らなところに置いて使うと、ボタンを押すたびにカタカタと音がする。これは気持ち悪い。以前のfx-370ESはこんなことはなかったのに、とても残念。ただ、これは自分で修正ができるので、上の文字読みにくさに比べれば、かわいいもの。

修正方法としては熱でケースの歪を修正するか、足が丸いポッチなので、足をひとつ削ってしまうかのどちらかだと思う。個人的には手っ取り早い後者で下のように修正した。


上記2点が、とても気になる悪いところで、それ以外は全体的に満足できるもの。所有しているfx-370ESと比較しても改善されていると感じる。

不満点が解消

以下はfx-370ESで不満だった点が改善された例。

結果を小数デフォルトに設定可能

分数計算の結果を常時小数に設定できるようになった。以前は全部分数で出てきて、SD変換の必要あり、わずらわしかった。学校の勉強の補助で使うなら分数で欲しい場合も多いだろうけど、実践的には小数で出てきて欲しい場合がほとんど。 下設定画面で、2を選べば、出力が標準で小数になる。

日本語、漢字で表記されるので分かりやすい。 設定を「2:数学自然表示入力/小数出力」にしておけば、 下のような分数計算でも、一発で小数が得られるようになった。



3桁区切りが可能になった

設定で3桁ごとにカンマが付けられるようになった。以前はカンマがなく、桁数が多くなると読みにくかった。



オートパワーオフは10分に延長

以前のfx-370ESは6分で、短いと感じていたので少しは伸びた。でも太陽電池を使っている状態なら切れなくてもよいと思うのだが・・・ オートパワーオフの問題はパワーオフになると履歴が消えてしまうところにある。「さっきの計算結果なんだっけ?」と、数分後に見ることは多いので。ということで、電源が切れても履歴が残っていれば、それほど不満はない。もしくはパワーオフしない設定を設けるか、どちらかにしてもらいたい。

処理スピードが速くなった

定積分などは時間のかかる計算だが、fx-370ESと比較すると圧倒的に速い。もはや電卓のスピードを越え始めている印象すらある。低電力でこのスピードはすごいね。

液晶のコントラストが上がった

fx-370ESと比較すると、液晶の種類が違うようだ。公式ではFSTN液晶を採用したとある。濃く黒い色に変更されている。それでも理想はもっとコントラストが欲しいけど。電子ペーパーぐらいあると満足かな。 下写真はfx-370ESとの比較。370が青みがかった薄い感じの文字に対して、700は黒ぽい文字でコントラストが高いのが確認できる。

拡大するとわかりやすい。文字がはっきりしている。

370はやっぱり薄めの文字。こうして見ると解像度もかなり違うね。



分数の入力方法が柔軟になった

以前は分数記号を入力してから数値を入れていたが、数値を入れてから分数記号を入れても入力できるようになった。こちらの方が違和感がない。


メモリー一覧が見れるようになった

メモリーに何が入っているか簡単に見れるので使い勝手が向上。 これならメモリーを積極的に使ってみようかと思える。やや複雑な計算も電卓でストレスなくできるかもしれない。



外観

妙な表面処理以外は無難にまとまっていると思う。キーの遊びも昔ほどではなくなり、明らかに傾いたりしなくなった。キーを押した感じも良くもなければ悪くはないという感じ。DELとACキーが黄色になって目立つようになった。

形状

厚みはさらに薄くなったようだが、底面は丸みを帯びてお皿のようになっていて手で持っても扱いやすくなっている。

本体下の手があたるところが、なめらかに面取りされている。角部がないので操作がスムーズに行えて好ましい。

パッケージはこんな感じ。いつものようにパッケージされた状態で操作できるようになっている。

裏にハードケースをはめた状態。

ケースを取外したところ。今まではケースの裏に何か説明シールが貼られていたのだが、今回の機種ではないのね。まぁなくていいけど。

本体とケースの裏面。

「ちきゅうにやさしい」エコマークが印刷されている。太陽電池を使うところがエコと認められたということかな。

電池蓋。LR44が1個入っている。2年ぐらい持つそうだ。

本日からメインの計算機として使うことにした。まだ逆ポーランドの癖が抜けていないけど、自然表示への乗換えは簡単な話。 今後は使いながら、気がついた点などを追記していこうと思う。


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