デジタルカメラ FUJIFILM FinePix F10

現在使っているコンパクトデジカメ、FUJIFILM FinePix 40iの電源関係があやしくなり、駆動時間が極端に短くなってしまった。そろそろ寿命か。4年以上の酷使で確かに限界を感じている。これから万博も始まることだし、そろそろ新しいメモ用デジカメでも購入しようと思う。はじめは、バッテリーが単三型ニッケル水素可で、記録メディアは今持っている資産を活用できる機種を探していた。

候補はリコーのR1となる。なかなか良くできている。しかし、暗い場所での撮影が極端に悪いという話。暗い場所でのストロボOFF撮影が多いので、これは痛い。見送ることにする。リコーには銀塩カメラのGR-1という、評判の良いコンパクトカメラがあるのだが、そのデジタル版が出るとか出ないとかいう噂があるが、そんなの待ってられないので他社を探す。しかし、まったく候補が見つからなかった。ソニー、ニコン、キャノンなども一通り調べてみたが、エントリータイプのコンパクトデジカメでは、魅力あるものが見つからなかった。エントリーで探すなという感じだが、メモデジカメに最高峰は必要ないし、お金も用意できそうもない。

そこで記録メディアの理由で、調べもしなかった富士フイルムを調べてみる。富士フイルムは、以前はスマートメディアを採用していたが、その後は、最悪なことにxDピクチャーカードというユーザーにとって何のメリットもないメディアを採用している。事情は分かるものの、やっぱりこういうメディアは極力汎用でありたい。メディアには目をつむって一機種一機種見ていくと、F10というカメラが一気に候補となった。バッテリーも単3形のような汎用ではないし、最悪のメディアを採用しているにも関わらず、購入する気になった。何が良かったのかというと、感度が高かったから。この一点だけ。従来よりもISO感度が高いため、比較的暗い場所での撮影に強いということだ。ストロボを極力使いたくないと思っているので、こういうカメラは大歓迎。いままで、デジカメで暗いシーンを撮影しようとすると、どうしてもノイジーな絵になってしまうし、スローシャッターとなってしまうため、人物の撮影は厳しい。ついストロボONになってしまう。従来のデジカメはISO100以下相当という感度が普通。これ以上の感度で撮影すると、かなりザラザラの絵となる。一眼デジカメは撮影素子が大きいので、有利であるが、そんな本格的なデジカメには興味がないので、コンパクトデジカメでそれを実現してくれるものはないかなと、半ばあきらめ気味に思っていたところ、タイムリーにF10が出てくれた。ネットでサンプルを見る限り、個人的にはまったく問題ないレベル。でも富士フイルムの公式サンプルって、以前は数枚あったはずなのに、調べたときには1枚しかなかった。1枚じゃサンプルとして成立しないよ。どうやら、印象が悪くなると思われるサンプルは削除されたらしい。さて、問題はすごく個人的なこと。エントリーデジカメを考えていたので、価格が思ったよりも高くなってしまったこと。さらに本体だけでなく、新たにメディアを買い足したりする必要があるので結局5万円を超えてしまった・・調べてから気づいたことだが、発売日(050312)は調べた当日であった。うーんタイムリーなのか?本当は初期ロットは避けたいのだが、まぁすぐに使う予定もあるので、思い切って購入に踏み切る。ネットでピッ!注文完了。

数日が経過して手元に届く。このF10は、カメラ好きの人にとっては、興味ある内容となっているが、一般にどれだけ理解してもらえるか、ちょっと疑問。一部で評判にはなるものの、それほど売れるカメラにはなれそうもない。やっぱりアピールするには渋すぎるかも。ストロボ撮影に慣れきってしまっている人って多いような気がするので、そういう人にとっては、何が良いのか理解できないだろう。それでもこの撮影素子は実際によくできているので、近い将来、どのデジカメも似たようなスペックの撮影素子になるのは時間の問題かな。その先駆けがこのF10だと言える。F10は、デザイン的に面白みがあるものではなく、ごく普通にまとめられている。店頭で見る限り他社の方が華やかに思えるだろう。大きさは思ったよりも小さい。以前TIARAという富士フイルムのコンパクト銀塩カメラを使っていたが、当時の銀塩カメラとしてはひじょうに小さく感動したものだ。しかし比べてみると、F10はさらにひとまわり小さい。ホールドもしやすく、使い勝手もよい。全体的には良いことばかりなのだが、最悪ともいえる仕様も存在する。それは妙なアダプターで、USBでPCに転送するにも、カメラ本体で充電するにも必要。カメラ本体のサイズを小さくするために、このような仕様になったのだろうが、一式持って旅行などに行くのはやっぱり気が引ける。そのうち、バッテリーチャージャーは買おうと思う。あとxDカード用のPCカードアダプターも。予備バッテリーもほしいなぁ。これで、妙なアダプターとACアダプターは捨てられる。

実際に撮影してみて

発色は今まで使っていたFinePix40iよりもナチュラル傾向。素直な印象を受ける。肌の色が着色されていないかんじ。(40iの加工された色はけっこう好きだった。)色味が外れることは今のところ少ないが、比較的明るめに撮影するので、対象によっては白飛びが目立つ。これは被写体に応じて露出補正などをしていく必要がある。一般的にはあまり気にならないレベルだけど。露出補正はマニュアルに切り替えるなど面倒。サンプルではAEロックを利用して好みの露出に調整している。またオートではISO80~800までの間を勝手に変えて撮影してくれる。結構どれもちゃんと撮影できているのが驚き。夜の室内では、やっぱりISO800に感度を上げて撮影されていた。それでも暗い室内で動く子供を撮影するにはシャッタースピードが遅く、ぶれが生じはじめる。手動ISO1600にして撮影すれば、そこそこ撮影できる。すごい!富士フイルムのカメラは以前からマニュアルよりもオートを優先している。撮影にこだわっていくと、マニュアルが必要になってくるのだが、そういう層を無視してまでオートを貫くように見える。やっぱりフイルムメーカーなので、フイルムが喜ぶ設定をカメラで提供するというかんじで、カメラは主役ではないようだ。ユーザにはいじる余地をあまり与えないつくりが基本みたい。F10も基本的にオートで撮影するようにできている。(まぁこれはエントリーに近いモデルだから当然だが。)何かマニュアルでやろうとするとイライラするかも。数百枚撮影した感想としては、室内の撮影に最適に思えた。夜、暗めの部屋でもそれなりに撮影ができる。銀塩カメラで増感して撮影している気分だ。個人的には室内では積極的にISO1600で撮影してもいいと思っている。(サンプル参照)画質は多少荒れるが、その場の雰囲気は撮影できるので、こちらを優先したい。もともと画質を求めていないので十分満足。F10はストロボ嫌いの人にとっては、現時点で最高のお手軽コンパクトデジカメといえる。

フイルムメーカーらしい正当なアプローチ

富士フイルムは、このF10で撮影素子の高感度化という新しいトレンドを打ち立てたように思う。カメラ業界には、かなりショッキングな出来事ではないのかな?次世代デジカメといえるぐらいのインパクトはあると思っている。一般ユーザはあまり反応を示さないと思うが、これはすごいことです。手ぶれ補正機能なんておもちゃ、この高感度化の方が実用的であり、ストレート。希望としては、このまま進化してもらいたい。余計な手ぶれ、ズーム機能はいらないから、さらなる高感度化と良いレンズ(まずは明るい単焦点)に徹してもらいたい。





F10 主なスペック

発売日:2005/3/12
センサー:1/1.7型CCD
焦点距離(35mm換算):36~108mm
F値:F2.8~F5
撮影感度:ISO80~1600
最短撮影距離:60cm(標準)、7.5cm(マクロ)
記録メディア:xDピクチャーカード
動画撮影サイズ:640x480
フレームレート:30fps
本体サイズ:92 x 58.2 x 27.3mm
本体重量:155g
生産国:日本


FUJIFILM FinePix F10のその後 080130

ほぼ毎日100%の稼働率で2005年3月から3年近く使ってきた。下の写真は比較的きれいに見えるかもしれないが、擦れによる細かな傷が無数あり、使用頻度を物語っている。

2007年夏に一度修理に出している。札幌出張で使おうと思ったら前日にレンズが出たまま戻らなくなってしまった。仕方なく、札幌にそのまま持って行き、現地の富士フイルムサービスセンターで1日修理を行った。なんと修理代は21000円。実は札幌駅前のビックカメラでF10の後継機種が21000円で売られていたのを知っていて、かなり迷ったが修理を選ぶことにした。今考えれば後継機種を選ぶべきだったかも。その後F10の後継機種といえるモデルがなくなってしまったので。壊れたF10は自力で修理することも可能だったし・・・  で、結局、修理箇所はレンズユニットを丸ごと交換ということになり、レンズ系が新品になった。それにしても最近の家電修理の多くはユニット交換しかしないなぁ。そのおかげで馬鹿高い修理代になってしまう。明らかに修理なんかやめて新しいものを買えと言わんばかりだ。


液晶画面のカバーはかなり傷が目立つ。コンパウンドで磨けばきれいになるのだが、そこまではやっていない。後継機種は液晶カバーらしきものがなくなっていた。あれだと液晶を直接傷めてしまいそうだ。
カメラの四隅は衝撃を受けやすい。F10の前面のめっきされた枠は、はじめ金属かと思っていたら、プラにめっきだった。これでは耐久性がよろしくない。案の定、ストロボ周辺はめっきがボロボロ。
使用頻度からして3年使えればよいと考えている。そろそろいつ壊れてもおかしくないので、新たなデジカメを検討しようと思っているが、どうも購買意欲をそそる機種が存在しない。F10のよいところは、高感度とバッテリー持続時間にある。F10の後継機種は、しばらくコンセプトを継承していたが、2007年末からは、もうやめたらしい。顔検出など余計な機能を入れ始めた。また肝心のバッテリー持続時間を犠牲にして、薄型を重視するようになった。まったく魅力を感じない。困ったものだ。



電源が入らないトラブル 2012/07/01

バッテリーは減っていないにも関わらず、電源がONにならない。ACアダプターをつけてみたら、ONにすることはできた。でも日付がクリアされている。バックアップ用の内蔵充電池が劣化したのかなと思ったら、F10は交換式の内蔵充電池でないようだ。どちらにしても部品の入手が困難で簡単に交換はできないので、しばらく放置。そしたら復活していた。ACアダプタにつなげっぱなしにしていたため、バックアップ電池が充電されたようだ。

その後は何とか撮影は出来ているが、バッテリーをしばらく抜くと、設定がクリアされるようになった。明らかにバックアップ電池の劣化だなぁ。近々まったく設定を維持できなくなるかもしれない。この手のカメラは使い捨てなのだと実感した。