短くなった鉛筆の使い方

短くなった鉛筆をどうするか?

持ちにくくなったら終わりか、補助軸などを使って数センチまで使い切るなどが普通かもしれない。アニメーションスタジオなどでは補助軸を使わずに新しい鉛筆を短くなった鉛筆にテープでくっつけて補助軸代わりに使っているようだ。おそらくその方が鉛筆のフィーリングを維持できるのだろう。それでも数センチまでしか使い切ることができない。個人的に補助軸を使ったこともあるが、あれはガタつく物が多いのでよろしくない。軸の太さが変わってしまうのも使いにくい。

20年以上前の話だが、学生のころ鉛筆の消費が多く、短くなって使えなくなった鉛筆を見て、もったいなく感じていた。そこで何とか使い切る方法を考えてみた。それがこれらの写真だ。

上の3本の鉛筆のうち、一番下が通常の状態。そして上2本が学生のころ編み出した鉛筆使いきりの技。よくみると分かると思うが、途中で鉛筆が接続されている。そう、新しい鉛筆を接着剤で接続してしまうのだ。こうすることで、そのまま使い続けていくことができる。短くなった鉛筆は全く無駄にならずに、新しい鉛筆に引き継がれていく。そしてエンドレスに使い続けることが出来るというわけ。

接続には下の写真の「Titebond」という木工用接着剤を使っている。以前はコニシ木工用ボンドなども使っていたが、接着剤が粘るので、鉛筆を削っていくと問題が出てしまった。それに強度もイマイチ。そこで、たどり着いたのがこの「Titebond」。硬化時間も短く強力。さらに硬化後は木部と一緒に接着剤を削ることができる優れもの。強い力を加えるとやはり折れるが、普通に使う分には十分な強度が得られる。「Titebond」は、最近では東急ハンズなどでも普通に売っているので入手しやすくなった。

ちょっと高級な鉛筆になると、鉛筆エンドが丸みを帯びていて接着するにはこの部分を削るしかない。実はこの精度がすごく重要で、平らにしないと接着後の強度も維持できない。相当慣れないと、難しい作業だ。この記事を見て真似してみようと思った人は、エンドが平らな鉛筆をお勧めします。

下の写真は接続部分まで鉛筆を削った状態。しっかり接着されていれば、折れることもなく、削ることが出来ます。最後の3mm程度になると、接着面が芯だけになるので、さすがにポキッと折れます。

この方法を考えてから20年以上経つが、同じ方法をやっている人をまだ見たことがない。この記事を見た人で鉛筆好きな人はぜひトライして、この運動(?)を広めてもらいたいと密かに願う。


子供用に折れにくい細工をして5年目 2011/7/22

  大人が使う分には単なる接着でも問題なかったりするのだが、小さい子供が使うには強度不足になってしまう。そこで鉛筆の両端を凸凹に加工して、はめ込みさらにタイトボンドで接着する。これで落としても無理に力を加えても、まず折れない。これをやり始めて5年ぐらい経過した。新品の鉛筆に古い鉛筆を連結すると長すぎて筆箱に入らないので、新品の鉛筆は半分の長さにカットして、それを使っている。

この加工はそれなりの精度が要求される。


下が連結したところ。

新品鉛筆に連結するとかなり長くなって、筆箱には入らないが、家で使う分には問題ない。



はじめから鉛筆がこのように加工されていたら簡単に連結できてよいと思って、あるコンペに5年ぐらい前に商品化前提で出したら無視された。そしたら去年海外で同じようなものが出て賞をとっていた。こういうパターンが多すぎるな。

また、連結できるように簡単に凸凹に削る鉛筆削りを考えてコンペに出したら、これは入賞した。賞金が少なかったなぁ。