関数電卓 HP 35s Scientific Calculator

販売価格 8,316円(税込)
HP オフィシャルサイト
http://h10010.www1.hp.com/wwpc/us/en/sm/WF02d/215348-215348-64232.html
RPN入力(逆ポーランド記法)に憧れて、ついにHP(Hewlett-Packard)の電卓を購入してしまった。以前からHPの電卓を買うなら仕事で使える関数電卓がよいと思っていたが、2000年ごろからフォルムが近代的というか、奇抜というか、かつてのHP電卓らしさを感じられなくなり、自然と興味も失せてしまった。ロングセラーの12cなどは昔のスタイルのまま売られていて、かっこよいと思うのだが、さすがに金融電卓は必要ない。また古いHPの関数電卓を無理して入手するほどマニアにもなれないし、国産と比較するとえらく高価になってしまうのも問題だった。そんな中、突然2007年に35sが発表され、せっかく忘れかけていたのに再び欲しいモードになってしまったというわけ。とりあえず1年様子見して、ようやく購入に至った。HPとしては比較的リーズナブルな1万円を切る価格設定もよかった。


早速いじっているのだが、RPN入力は、やってみると違和感なし。スタックの動きさえつかめれば複雑な計算もすぐにできそうな予感。原始的でシンプルな機械を直接いじっている感触があり、日本メーカーの、ユーザにやさしい関数電卓とは方向性がまるで別のようだ。というか、この35sは過去の遺物のようだ。使い勝手は、しばらく使った後にレビューするとして、まずは写真を中心に紹介したいと思う。


キーは噂通り、クリック感がしっかりあって、日本メーカーの電卓とは印象がかなり違う。プチプチした感触は癖になりそう。軸が手前にあって、奥行き方向へ沈むのだが違和感はない。でも高速に長時間打ったら、疲れそうだ。

ずらっと並んだキーは立体感と、その文字の配色もあいまって、かなりインパクトがあるが、下品ではない。

パッケージは日本では考えられないぐらい頑丈なブリスターパック。封を開けるのが大変なぐらいだった。


同梱物は本体、セミハードケース、英語マニュアル、電池x2。 英語マニュアルはかなり分厚いです。


セミハードケースに入れたところ。右利き、左利きに対応できる作りになっている。内ポケットもあるので、何かと便利かも。ケースのファスナーは本体角をかすめそうで、あまりよろしくない。ケースそのものは素材的に数年で悲惨な状態になりそうだ。あとケースは薬品ぽい匂いがひどい。これは数ヵ月後には抜けると思われる。


電池はCR2032を2個使用する。
110729 使い始めて1年半で2個ともなくなった。CASIOの数年単位で持つ電卓と比較すると普通の消費電力だと思う。CASIOは超低消費電力。


原寸大に見えるかな? 12インチのXGAの画面にあわせてみました。実際のサイズは158 x 82 x 18.2mmです。「たる型」の本体は、レンズひずみではなく、本当に「たる型」形状になっている。これだけで随分クラシカルな印象を与える。


裏側は表に比べ、チープな感じ。


裏側にはゴム足があって、置いたときに滑らず安定するのはよいのだが、電池蓋にゴム足があるのはよろしくない。普通は本体側に足をつけると思うのだが。スペース的にも問題ないはずなのに・・・ しかも、その電池蓋がカパカパ動いて頼りない。机の上に置くたびにカパカパと音がする。クリアランスが大きすぎてかっちりと閉まっていないのだ。これは金型の調整がしっかりできていないと思うのだが・・・ それとも個体差か? いずれにしても、細工してしっかり閉まるようにしておこう。


手前側のゴム足は本体にバー形状のものがついている。こっちは問題ない。

主な仕様:
RPNとALG切替可能
プログラミング機能
Solveアプリケーション
30KBのメモリと800以上の独立なストレージレジスタ
42の組み込み物理定数
組み込み関数は、統計関数、base-n関数、複素数、対数、指数、逆関数等

LCD: 14文字ドットマトリックス×2行
電源: CR2032(2個)
電池寿命: 1日1時間の場合約9ヶ月
重量: 125 g
寸法: 158 x 82 x 18.2 mm



黄金比の計算  110728
黄金比を近似値で表すと、
1 : 1.618033988749895
になる。これを計算するには以下のような式が使える。

こんな式をHP35でどうやって計算するかというと、まず、XYZTのスタックに、
1
1
1
1
と入れてしまう。次に


を繰り返していく。スタックTの値は無限に同じ値が落ちてくるので、いくらでも計算を繰り返すことが出来る。これで黄金比に収束していく。

1.61803398875 と出た。かなり正確。
正確な黄金比の近似値は以下の通り。
1.6180339887 4989484820 4586834365 6381177203 0917980576

この計算をCASIO fx-370ESでもやってみたが、一度数式を打ち込んで計算するタイプなので、入力のルートが多すぎるとエラーが出てしまうし、少ないと小数第3位で誤差が出始めてしまう。

計算結果は以下のようなかんじで、やや不満の残る結果だ。また計算式をまとめて処理するので、けっこう時間がかかってしまう。表示はひじょうに分かり易くてよいのだが、この手の計算は苦手のようだ。

HP35sは演算をしながら入力なので、処理は1回ずつ行われ、負荷は少ない。好きなだけ繰り返し計算すればよい。シンプルな構造ゆえにこういうメリットもあるというわけ。