ルーペ PEAK ACHROMA 35 NO.2022-35


ルーペ PEAK ACHROMA 35 NO.2022-35
有効径 37mm
拡大率 4倍
表面処理 両面パープルコート
寸法 39φ×155×15mm
重量 67g 
レンズ ガラスレンズ アクロマートレンズ
定価 6,405円

ここ数年3倍率程度のルーペ(虫めがね)の使用頻度が増えてきて、今まで使っていた台湾製の安物では疲れることが判明。どうせなら、ちゃんとしたルーペを買っておこうと思いピークを選択した。ネット上にはルーペの情報がほとんどないので、ピークなら大丈夫だろうという思いで購入したが、実際どんなもんだろうか。ピーク製品は好きで、写真用のルーペをいくつか持っているので安心感がある。あまり時代に流されていないというか、よいものを頑固に作り続けている感じがする。

ガラスレンズかプラスチックレンズか
最近の手持ちルーペは軽量化と非球面採用のためかアクリルレンズが多い。多少耐久性を高めるためのコーティングもされているようだが、ガラスほどの耐久性はあるとは思えない。どうもプラスチックレンズの高級品は敬遠してしまう。何年も使っていると、必ずレンズをぶつけたりするので、少しでも耐久性のあるガラスレンズが安心なのだが、意外とガラスレンズの高級ルーペがなかった。そんな中、PEAKはめずらしくガラス製だった。

アクロマートレンズ
PEAK ACHROMA 35の特長は、名前のアクロマからも推測できるのだが、アクロマートレンズを採用したルーペである。アクロマートレンズとは、天体望遠鏡の対物レンズなどでも採用されている2枚合わせの色消しレンズで、色収差を補正したレンズ。虫めがねタイプのルーペで採用しているのはこれぐらいではなかろうか。普通虫めがねは1枚の凸レンズで構成されているので、2枚使った時点でかなり贅沢な作りといえる。

PEAK ACHROMAシリーズは3タイプある
№2022-35 37mm 4倍 39φ×155×15mm 67g  6,405円
№2022-55 54mm 2倍 56φ×175×20mm 117g  8,190円
№2022-75 75mm 1.3倍 77φ×195×25mm 245g 13,230円
購入したのは35の4倍率のルーペ。細かなチェックが多いので3倍以上でないと使えない。用途によっては55の2倍も使いやすそうだ。75の1.3倍は随分思い切った低倍率。しかも高額。

付属品は、レンズケースやレンズを拭くクロスも付属している。さすが高級品だ。レンズの径に対して柄が異常に長く見えるが、これによって安定して持つことができる。柄の長さは約110mmある。


レンズを止めている金具の内側は黒く染められていて、光学機器らしく反射防止対策がされている。PEAKのマークはシール。 その下の赤い点は、こちらの面が接眼面つまり上にして使うという目印。アクロマートなので、方向性があるのだ。外周には合皮が貼られている。


長めのローズウッド製の柄は、少しねじれたかたちになっている。(写真では分かりにくいけど)。柄の断面形状も単純ではなくて、レンズ側の付け根はやや横長角丸四角形で、柄の先は縦長角丸四角形になっていて、手によくフィットする。

柄は断面は丸くないので扱いやすい。見ることに集中していると、柄断面が丸いと、知らないうちに傾いていて、像もゆがんでしまったりするのだが、この柄の形は絶妙で、勝手に傾いてしまうことはない。しっかりと安定して持てる。かなりポイントの高い柄だ。

見え方は、色消し効果でクリアに見える。色のにじみがないので、印刷物などのチェックにも使える。ただレンズ径が小さいため、広い面積を見るには適していない。

ルーペの見方
小学校の教科書に書いてある使い方はイマイチだった。個人的な使い方としては、ルーペと被写体の距離はルーペの倍率で決まっているので、それをできるだけ固定させるようにしている。ルーペをやや離し気味から被写体に近づけ行き、ピントが合った位置で止める。このときが最も拡大された像である。被写体との距離をキープするため、小指を被写体に当てることも多い。目の位置は作業内容によって多少異なるが、疲れてもよいのであれば、目を可能な限りルーペに近づけてしまう。視野いっぱいに拡大された像が映し出されるので、よく見える。視界も広くて快適。ただルーペが悪いと、やたら疲れます。ちょい確認程度なら、目をやや離し気味で見たりもする。被写体が持てる場合は、左手に持って顔に近づけるようにして見るかな。そして重要なのが照明。これをきっちりやらないと見えるものも見えない。以上は無意識でやっていることなんだけど、子供の見方があまりにひどかったので、ちょっと書いてみた。

まとめ
PEAK ACHROMA 35は、どこかアンティークな感じのルーペだが、使い勝手もよく、レンズも優秀&ガラスレンズであり、長くお付き合いできそうだ。



ルーペ PEAK ペンダント・ルーペ No.2047

3倍率 定価819円

ガラスレンズ
プラスチック枠
拡大率3X
有効径28mm
寸法35φ×53×5mm
重量9g
おまけのようなルーペだが、下にある台湾製の3倍虫めがねよりもよい。首からぶら下げて使うようにストラップまでついてる。。

柄はペラペラで、2つの指でつまんで使うような形だが、レンズの角度を確実に保持できるので、円柱状の柄よりも優れているかも。
またテーブルなどにルーペを置いてもレンズがテーブルに触れることはない。レンズ枠がさりげなくレンズを保護している。


表にはPEAKのロゴ。裏からレンズをパチンとはめた構造。シンプルで好感が持てる。PEAK製品ってどれも古めかしいけど、いい味が出ている。






見え方の比較

上記2つのPEAKルーペと、前から使っている「台湾製虫めがね」と、使えない「幼稚園虫めがね」の見え方の比較。写真は手持ちで適当に撮影したので、ちょっと微妙というか、あまり参考にならないかもしれない。

台湾製虫めがね 購入価格398円 (ホームセンターで購入)
3倍率 ガラスレンズ 径38mm 台湾製
新潟精機株式会社 販売元

今までメインで使っていた虫めがねルーペ。製造元がはっきりしない台湾製という部分がマイナスというところか。でも国産のガラス製虫めがねと比較してもそれほど違いはないはず。レンズの精度もそれほど悪くないと思われる。
購入時、柄のつけ方が極端に曲がっていて交換した。これは台湾製の品質の悪さを物語っている。

周辺の色収差が目立つ。青、赤のにじみがそれ。中心部は十分使えるので、実用上それほど問題はない。ただ長時間使うと疲れる。

幼稚園虫めがね 幼稚園で買わされたもの 価格不明

オールプラスチックでかなりアバウトな虫めがね。倍率は2倍以下だと思われるが、実用性ゼロ。レンズ面が波打っている。いくら子供が使うにしても、これでは何にも役に立たないよ。

面白いぐらい何にも見えない。この写真は目立たないが、実際にはすさまじく波打つ像が映し出される。まさに水面を見ているような感覚。これは何に使えばいいんだ?

PEAK ペンダントルーペ3倍

同じ3倍率の台湾製と比べると驚くほど色収差が目立たない。レンズ径が小さいからだろうか? 欲張らずによく見える範囲だけしか見せていないのかもしれない。プラ製枠おもちゃチックな見かけによらず高性能。

PEAK ACHROMA 35 4倍

色収差なし。2枚構成の色消しレンズの効果は抜群。高倍率のわりに疲れない。

まとめ
写真ではよく分からないが、実際には明らかにPEAK ACHROMA 35が優れていた。色収差がないというのは、こんなに快適なものだとは知らなかった。コントラストのはっきりした細かな被写体を観察するときには威力を発揮する。台湾製もペンダントルーペもちょっと使う分には問題ない。幼稚園ルーペは論外。長時間ルーペを眺めて疲労感を味わった人なら、PEAK ACHROMA シリーズはお勧めだ。



焦点距離を求めてみる PEAK ペンダント・ルーペの場合


虫めがねルーペには焦点距離が書いていない。ちょっと不思議だったので、自分で計算することにした。

M = 250/f という公式があるので、まずは、これに当てはめて焦点距離を計算する。
Mは倍率
fは焦点距離

250は、明視の距離と言って250mmのこと。これは近くの被写体をよく見る際、一般的に一番見やすい距離らしい。私も試してみたが、確かに細かなものを見るときは250mm程度がよいようだ。これ以上近いと、ピントが合いにくい。でも段々とこの距離が遠くなるらしい。つまり老眼。ちなみに、うちの子供は100mmぐらいで見ているよ。びっくり。違いは眼球の大きさかな?成長したら250mm程度になるのかも。一般的な虫めがねは、この明視の距離の250mmを前提に作られているようなので、これを大前提としておきたい。では実際に250mmの距離で虫眼鏡を見るのかと言うと、これは違う。実際このPEAKペンダントルーペの場合は、被写体とルーペの距離は75mm程度で、ルーペと目の距離は、その都度変化する。基本的にルーペから数センチ程度の距離で見ることで、視野いっぱいに見れることになる。被写体から目の距離はこの場合100mm程度となる。では、何が250mmなのかと言うと、被写体の虚像と目の距離が250mmということ。実際の被写体よりも遠くに被写体の3倍の大きさの虚像があるということ。

PEAK ペンダント・ルーペが1枚レンズなので、これで計算と簡単な実験で確かめをしたいと思う。
M = 250/f に当てはめる。このルーペは3倍ということなのでM=3とする。
3 = 250 / f
f = 83.3333
焦点距離は計算上83mmということになる。

では実際に焦点距離が実際に同じになるかどうか確かめてみる。確かめる方法は、レンズを使って、白い紙に外の景色(無限遠)を映してあげればいい。そのときのレンズからピントがあった白い紙の距離がほぼ焦点距離になる。物体が近すぎると、焦点距離と一致しないので注意。


図は凸レンズの場合の焦点距離と像との距離をイメージしたもの。a が物体とレンズとの距離、b がレンズと像との距離、f が焦点距離となる。レンズの公式というものがあって、1/f = 1/a + 1/b が成り立つ。a が無限の距離になれば、f と b は同距離になる。通常10m以上は無限遠とみなしてもよいぐらい。物体が近いと、像の距離は焦点距離よりも離れていく。


写真のようにして紙に投影して、ピントが合ったら、レンズ中央から紙までの距離を測る。

およそ83mmぐらいだった。焦点距離は83mmと考えて間違いないだろう。ちなみに PEAK ACHROMA 35 4倍ルーペの場合は、焦点距離が計算上は62.5mmとなり、実際は64mmぐらいで僅かにずれているような気がする。2枚レンズなので、単純に計算はできないようだ。倍率が上がるほど焦点距離が短くなっていく。

では虫めがねにはなぜ焦点距離が明記されていないのか? 単純に用途的に焦点距離は使わないからだろう。実際には被写体とレンズの距離は焦点距離よりも短かいところで使うので。