時計に最適な電池は?
電池を製造しているメーカーのホームページなどを見ると、時計にはマンガン電池、もしくはアルカリ電池を推奨している。ニッケル水素電池は対象外で、エネループは使用可というレベルだ。 時計が求める電池は、微電流を長期間維持できるもの。最近の大電流を長時間流せる電池とは違う方向のようだ。
では、クォーツ時計は小さな電力しか使わないとあるが、どれぐらいの電流を流しているのか実際に調べてみた。電池の電圧をテスタで測ると1.309V。電流は0.37~0.5mAを1秒ごとに瞬間的(0.2秒ぐらい)に発生させていた。電流発生時間はオシロスコープで見ているわけではないのでいい加減です。まぁとにかく小さい電流だ。他にこんな消費電力の小さいプロダクトは見当たらない。しかも休んでいる時間の方が圧倒的に長い。これなら電池は長持ちすると納得できる。ちなみに松下電器の乾電池データシートを見ると、マンガン電池の単3形では10mAを100時間以上流す容量があるらしい。この数値を元に単純計算してみると、上記電流が1秒間に0.2秒パルスが発生したと仮定し、415日以上駆動できることになる。電流がデータシートにないぐらい小さいので、さらに持続する可能性がある。まぁ実際の使用感も2年は持っているような気がする。それでは、何電池が一番適しているか?
次に、10年使った場合の各電池のコストを表にしてみた。アルカリ電池は経験上2年使えるということにした。つまり5本使用。マンガン電池も1年以上使える気がするが、容量的にはアルカリ電池より少ない。しかし復活する特性があるので、ここでは6本にしてみた。価格は10年後には以下のようになる。
乾電池の種類 | 一本あたりの価格 | 10年間の使用本数 | 10年間のコスト |
エネループ | 350円 | 1本 | 350円 |
アルカリ電池 | 123円 | 5本 | 615円 |
マンガン電池 | 42円 | 6本 | 252円 |
廃棄という面では1本しか消費しないエネループが環境にやさしい電池になる。アルカリ電池はコストパフォーマンスが一番悪くなってしまった。100円ショップの4本入りを買うと一気にコストは安くなるけど・・ マンガン電池は1本何年使えるか不明だが、高くはない。しかし廃棄する本数は一番多くなりそうだ。
さて、結論としては、エネループとマンガン電池を数年使って様子をみようかと思う。エネループは、10年ぐらい使えれば、他の電池との価格差もなくなってくるので、初期投資こそ高くつくものの、10年ぐらいのスパンで考えれば、それほど高いというわけではない。ちなみに単3形エネループの1本あたりの充電にかかる電力は0.1円以内というところだ。10回充電しても1円に届かない計算になる。 マンガン電池は各社推奨なので時計にとって最高の電池である可能性がある。まずはちゃんと試してみようと思う。
先日、世界一の長寿命電池としてパナソニックから「エボルタ」という第四世代乾電池が発表された。使用推奨期限が通常の5年から10年へ伸びたそうだ。また大電流、中電流域だけでなく、時計やリモコンなど小電流域の製品にも使用できるようだ。他電池との小電流時の比較を見ると2倍長持ちしているようなので時計用途でも期待できる。エネルギー密度の高さ、10年間の長期保存性、ひょっとしたら6年ぐらい時計を動かせるかもしれない。発売は2008年4月26日。性能はよさそうだが価格は高め。