キーボード 東プレ Realforce 91

東プレのRealforce 91はオーソドックスなテンキーレスキーボード。5年ぐらい使っているのだが、そろそろレビュー。

主な仕様
Topre(東プレ) Realforce 91
型式:NE0100
価格:実売17000円前後。最近のキーボードとしては高い。
日本語91キーボード テンキーレス
PS/2 接続
静電容量無接点方式
キーストローク 4.0mm
押下特性 主要部 45gで、小指で押すキーの多くが30g、一部55gもあるようだ「Esc」のみ?
ステップスカルプチャータイプ
サイズ:W366×D168.5mm×H38mm
重量:約1.2kg
ケーブル長さ:1.6m

特徴
業務用キーボードを作っていた東プレが、民生用として販売したのがRealforceとなる。基本的な構造は業務用仕様と変わらないようだ。
一般のキーボードとの一番の違いは静電容量型無接点方式のキーなので耐久性が抜群。無接点というのは、キーを完全に押し込まなくても入力されるということ。普通の接点タイプでは、基板のパターンに、キー側の接点を接触させる必要があって、この部分が長年使っていると劣化して、押しても入力されなくなったりして、とても不快。そうなるとクリーニングしたり、接点を修理したりする必要が出てしまう。無接点のRealforceはそういうトラブルとは無縁。
またキータッチの重さがキーごとに調整されている。全体的に通常のキーボードよりも軽い。慣れると高速に打つことが出来る。何よりも押したときの感触が気持ちよい。

同時入力の制限
PS/2版のRealforceは一度に入力できるキー数に制限がない。USB版はUSBの仕様から6つまでの制限がある。PS/2をUSBアダプタを介して使うと、やはり6つのまでの制限となる。普通に使う分には何も不自由はしないのだが、ソフト鍵盤のプログラムを作ったときに、同時入力無制限のありがたみを知った。

しっかりした筐体
本体は、やや重めでしっかりしている。中には厚めの鉄板が入っていて、キー入力をしっかり支えている。変にふにゃふにゃすることはない。

ルックス
なんとも普通のキーボード。今の時代からすると古いキーボードに見えてしまうが現行機種である。

底面。手前の4つの爪を指ではずすと簡単にケースを開けることが出来る。工具すらもいらない。その割りに組み立てるとしっかりしていて、がたつきもない。よく出来ている。とにかく分解が簡単。

ケースの中身


上ケース 素材はABSとでかく刻印されている。

下ケース 素材は同じくABS樹脂。

折りたたみ式のよくある足。見た目以上にしっかりしている。足の裏にもABSと材料の表記がある。

手前側のゴム足は角度を変えたときにために2つある。滑り止めとしてしっかり機能している。

ケーブルはセンターと左右に出せるようになっている。

簡素な銘板。今では珍しい MADE IN JAPAN。

PS/2仕様。JAPANとある。ノートPCで使うときはUSBアダプターを使っている。

ステップスカルプチャータイプ
各段違った形状になっている。平らな鉄板の上に配置しているので、打ちやすいカーブを実現するためにこのようにキーの形状を変えている。キーを押し込む角度は下の基板、鉄板に対して垂直。キートップの表面と押し込まれる角度には矛盾がある。現状では気にはならないものの、理想的な押し込み角度はキートップ表面に対して垂直だと思う。

分解した基板とスイッチの角度。押し方向は基板に対して垂直なのが分かると思う。キートップの面との角度はバラバラになる。

キートップ
昇華印刷されていて、すっきりとした見た目と耐久性がある。印刷のインクはプラスチックに浸透しているので、多少表面が削れても消えることはない。最近は廉価なキーボードが多いので、このような印刷を行っているキーボードは少ない。また、黒Realforceはレーザー印刷。ここ数年で伸びてきている印刷方式だ。日々改善されていると思うので、最近はよくなったのかな。以前はボケっとした印刷だったけど。それにしても黒Realforceは東プレぽさを感じない。あーいうのはHHKBに任せておけばよいとよいと思う。

キートップをはずしてみた。意外とかために取り付けられていた。はめるときもパチンという感じ。簡単に取れるようでは業務用としては失格なのだろう。取り外しには、それなりの力が必要なので、注意しないといろいろ傷つけそうだ。

スイッチはきわめて滑らかに動く。鉄板のエッジに錆が出始めている・・・

参考までにIBM Lenovo X61のキートップ。文字印刷の上に透明のオーバーコート印刷して剥がれないようにしている。キーボードでは主流の印刷方法。使っているとキーはツルツルになるが、オーバーコートされている部分は不死身。すごい耐久力ではあるが汚らしく見える。特に黒いキーは磨耗してテカテカになるので黒いキーボードってよくないと思う。逆に白はテカテカは目立たないが変色が目立つ。

忠実な日本語108配列
日本語配列とかJIS配列とか言われているキー配列は、OADG (PCオープン・アーキテクチャー推進協議会)というところで標準化された。しかし実際のキーボードの配列は微妙に異なることが多い。そんな中Realforceはきわめて忠実に配列をまもっている。

左手部
「半角/全角」キーの側面には「漢字」と印刷されているが、そういう部分がOADGの仕様書通り。印刷の微妙な位置関係なども再現されている。
ちなみに仕様書は109配列で、Winキーが2個あるタイプ。108配列はWinキーが左側だけとなっている。


右手部
「Enter」キーの矢印の形とか、「Shift」の矢印の形とかも忠実だ。


カーソル部
カーソルの印刷位置までも忠実。


108日本語配列について
パソコンをいじり始めたときは、英語キーボードしか持っていなかったので、それを使っていたのだが、徐々に日本語配列が標準になってしまった。どこへ行っても日本語配列。これは使いにくくて仕方ないのだが、慣れるしかないと思って、7、8年前から、なるべく日本語配列を使うようになった。あまり使わない「無変換」「変換」「カタカナ ひらがな」キーが手前を占領しているのは未だに馴染めていない。あえて使うようにしようと思っても、使うのはせいぜい「変換」キーぐらいか。後は逆に間違えて押さないように気をつけている。キーを入れ替えるというのも手だが、なるべく標準の状態に慣れた方がよいと思っているので、あえて何もしていない。
「Win」キーも嫌いなキーのひとつだが、マック以外ではこれがないキーボードの方が珍しい存在となってしまた。これも慣れれば便利かもしれない。何よりも印刷面積がでかいのが気に入らない。キーボードによってはピカピカしてやたら存在感を出しているものもある。やめてくれ。下は左からRealforce、Lenovo X61、Logicool MK260の「Win」キー。

気になる点
かなり気に入っているキーボードではあるが、気になる点も少しある。
まずキートップの形がややエッジきつめのような気がする。指で複数のキーを連続してなでていくと、やや引っかかる。あまり指先を刺激しない形状が望まれる。ちなみにキートップ表面が凸になっているのは親指用キー。「スペースバー」「無変換」「変換」キーが相当する。そういう意味ではAltは親指以外で押すことを想定している。個人的にはAltは親指で押すことが多かったりするので、「無変換」をAltにして使っている。位置関係も改善されて結構快適。

次にキートップを触れるとカタカタと揺れる。ちょっと遊びが多すぎると思う。

また上記に関連しているが、キーを離すときにカチャカチャとややうるさい。東プレは最近、静音タイプキーボードというものを発売しているので、おそらくこの辺の改善がされていると思われる。

ゲートカット跡が残っている
下の写真のように大き目のキーのいくつかにはゲートカット跡が少しあって、キーボードを上から見ると意外と目立つ。ゲートとはプラスチックの成型時にプラスチックを流し込むところであるが、どうしても僅かに残ってしまう。きれいに削り取ればよいのだが大量生産ともなると、なかなかやってられない。Realforceも当然未処理でこのようになっている。ゲート位置をなんとかできなかったのかなぁ? ということでキートップを取り外して削ろうと思っているのだが、未だに手をつけていない。

ゲートが見えない小さいキーは軸部分にゲートがあった。ここなら跡があっても問題ない。

全体的に
ほとんど文句のないキーボード。丈夫で分解しやすくて基本に忠実。妙な装飾などもなく質実剛健。個人的にはマックのおしゃれ路線よりも、こういう実用的で道具としてまっすぐなプロダクトが好き。

ついでにQWERTY(クワーティ)配列について
キーボードの不思議な配列がどうやって生まれたのか気になったので、以前「キーボード配列QWERTYの謎」 安岡孝一 という本を読んだことがある。QWERTY配列とは、キーの並びがそうなっているので、このように呼ばれている。当時タイプライターのアームの絡まりを避けるため、高速に打てないようにQWERTY配列になったような説もよくみかけるが、どうやらそれは違うらしい。使用頻度の少ない文字を外側へ配置するなど、打ちやすさを追求しつつ、長い年月をかけて、この配列になってきたようだ。またタイプライターでは数字の0とO(オー)を兼用したりしていたので、9の斜め下にO(オー)が配置されたようだ。結局QWERTY配列の経緯は、はっきりした資料はない様子。後に、より効率的に打てる配列も考案されているが、すでにQWERTY配列が広まってしまったので、取って代わることはなかった。すべて英語の話。日本語打ちには関係ない。結局のところ、打ちにくかろうが何だろうが広まったものを使うだけの話。デファクトスタンダード強し。

配列の覚え方
QWERT(クワート)、YUIOP(ユイオーピー)
ASDFG(アスディファグ)、HJKL(エッチジェーケル)
ZXCVB(ゼットエックスシブイビー)、NM(ヌム)
こんな風に左手、右手に区切って音で覚えている。覚える数がある程度あると、音で覚えてしまうのが手っ取り早い。