古いダイナミックマイク SANYO

実家から貰った古いダイナミックマイク。今はなきサンヨー製。実は、実家で、これを使って歌を録音するようなことを言い出したので、これでは高音質は望めないよと言って、Audixのダイナミックマイクを買った経緯がある。この使えそうもない古いマイクはそのまま引き取ってきたというわけ。分解するとダイアフラムまで見れたので、構造を知るにはよいサンプルだと思えたのだ。


子供のころに見たことのあるマイクなのだが、何かの付属マイクだったのかな? IMP.500Ωと書いてあるので、インピーダンスは500Ωということ。巻き線抵抗値をテスタで測っても482Ωと近い値だった。

通常ダイナミックマイクのインピーダンスは150から600Ωの範囲で作られていて、その違いは感度と音質の差となる。

プロ用のShure SM58などは150Ω(実効値300Ω)のローインピーダンスマイク。感度は低いが、しっかりした音質が得られやすい。ある程度の声量がないとよい結果を出せないマイク。この手のマイクは例外なくバランス出力。

一方カラオケなどの一般用マイクは500から600Ωのハイインピーダンスマイク。感度が上がるが、音質が犠牲になる傾向にある。機器との接続は標準プラグのアンバランス出力だが、マイク側はXLRとかになってるものもある。

重要なのはインピーダンスが違えば接続する機器も違ってくるということ。知識があればインピーダンスマッチングやら配線を細工することで使用することはできるが、この手の機器に詳しくなければ無理な話。にもかかわらず、世の中さまざまなマイクが流通していて、ろくな説明もないまま売られている。見た目だけでは違いが分からない。また接続するだけで壊れるようなものもあるので恐ろしい。

このマイク、JAPANと書いてあるので日本製。

ON/OFFスイッチ。配線は信号線とGNDだけ。トランスなどは入っていない。

ダイアフラムを直接見ることができる。

このマイクは構造的に無指向性。そういう意味では割りと距離に関係なく、素直な音が録れそうな気がする。

古い割りに損傷もなく、使えそうな雰囲気。


サンプル

電気的には問題がなさそうなので、ためしに録音をしてみることにした。ノートパソコンThinkPad X61のマイク端子に挿して録音してみる。パソコンのマイク端子はコンデンサマイク用に電源を供給するので、今回のダイナミックマイクを使うのはよろしくない。そこで、信号とGNDだけをマイクにつないで録音してみた。
結果は感度が低く、音量をある程度上げていくとサーというノイズが目立つ。またシールド対策せずにつないでいるので、時計か何かの信号を拾ってカチカチ鳴っている。対策してもまともには使えそうもないが、とても古い感じの音になっているので、特殊効果的に何かに使うのはありかな?


続いてFocusrite Scarlett 2i2のインターフェイスにバランス接続して録音してみた。ノイズが一気に減っている。ノイズ対策すればさらにノイズは減る可能性大。これなら使えそうだわ。



電気的特性

単純にマイクの端子をテスタにつなげて、交流電圧と交流電流を測ってみた。声で試してみると0.02V程度の電圧が出ていた。また電流は40μA程度で、抵抗を500Ωとした場合、オームの法則に合う電圧と電流の関係になっていた。思った以上に感度も高いので30dBも増幅すればラインレベルになる。