SunVox 使い方 基本設定

SunVoxを使い始めたのだが、DAWとは勝手が違うので、いろいろどうなってんの?という部分があった。 SunVoxで作曲を始める前に、知っておいた方がよさそうな基本的な設定を書いておくことにした。

SunVoxをダウンロードしたのが1週間前、いじってみたのが正味3日程度なので、よく分かっていない状態であることをお断りしておく。


各部の名称

ウィンドウは以下の領域に分かれている。
  • パターンエディター:楽譜に相当。音程やリズムをここに数値で打ち込む。
  • モジュール:音源やエフェクタを作成し接続するところ。
  • コントローラ:上記各モジュールのプロパティ。
  • タイムライン:パターンを並べて曲にするところ。



領域の境界線をドラッグすることで各領域の大きさを変更できる。 よくあるタブで切り替えたり、フロートするタイプとは違う。 一度にすべてを見通せるため、作業効率がアップする。

それでいて画面サイズを要求しない。 上記は実物大のインターフェイスだが、幅は500pix程度しかない。 これでも作業可能なのだ。

またモジュールとタイムラインはマウスホイールで拡大縮小などが可能。 他も右クリックで出てくるメニューのScaleを使うことでサイズを調整できる。 ただフォントは今ではあまりお目にかからない固定ビットマップフォントなので、拡大率によっては、いびつになる。


大まかな作業の流れ

以下に曲作りの流れを書いてみる。基本的にパソコンやスマートフォンだけあればOKなのだが、ここではWindows10のパソコンに、MIDI鍵盤(古い電子ピアノ)とオーディオインタフェイス(ASIO)をつないでいる。よって、その辺のセッティングも含むことにした。


ハードウェア設定

まずSunVoxを起動して新規プロジェクトを作成する。 メニューからNew Projectを選択する必要があるのだが、メニューの場所が分からなかったりする・・・ SunVoxは一般的なWindowsアプリと違って、独自インターフェイスなので、多少戸惑いはある。 下絵の赤丸のところにあるアイコンがメインメニュー。



アイコンをクリックし、New Projectを選択し、TemplateかEmptyを選ぶ。ここではEmptyを選ぶ。 そうすると下のような空のプロジェクトが開くと思う。



オーディオデバイスと接続
まずは音が出ることを確認するためにも、出力先の設定をする必要がある。 なお、この設定は一度してしまえば、変更しない限り有効となる。

クリックするとメニューが出てくるので、Preferencesを選択。 別ウィンドウが出現するので、さらにそこにある左メニューの中からAudioを選択すると、 音声出力関係の設定ができる。 ここでは下記のように設定した。



手持ちのオーディオインターフェイスUH-7000はASIOに対応しているので、ASIOに設定。 Windowsの標準ドライバだと、MIDI鍵盤を弾いた時に、遅れて音が出るが、ASIOなら気にならいぐらいまで短くなる。
またドライバと関係しているが、バッファサイズを128と最小にしている。音の遅れが一番小さいということ。 音を鳴らしたときにプチプチ鳴るようなら、バッファサイズを大きくしていく。
Sample rate = サンプリング周波数はとりあえず、他と合わせるために48000Hzにした。普通は44100か48000のどちらかでよいと思う。設定が終わったらCloseボタンを押して、設定ウィンドウを閉じる。

音の確認をする必要があるのだが、音源の設定がされてないため、このままでは音が出ない。 そこで、とりあえず確認するためにモジュールを置くことにする。


音の確認用にモジュールを設定
下のようにOutput(Outp.t)という横あたりを右クリックすると、モジュールエリア用のメニューが出てくるので、そこでNewを選択。



下のようにいろいろ出てくるが、ここではSynths:Generatorという最も基本的なオシレーターをダブルクリックするか、選択してOKボタンを押す。



下絵のようにGeneratorという箱ができる。さらに音を出すためにはOutputに接続する必要がある。



Shiftキーを押しながら、Generatorの上でマウス左クリックしてドラッグすると、線が伸びるので、それをOutputまでもっていくと接続される。接続には方向があり、線の上を流れる点を見れば、方向が確認できるようになっている。 この辺のアイデアはさすがだと思う。最小限で分かりやすくしている。 この解説のスクリーンショットも今のところ部分ではなく、全画面だからね。



Outputに接続できると音が出る状態になる。SunVox内の鍵盤をマウスでクリックすると音が出ると思う。 音量調整は鍵盤とモジュールの間にあるVolという部分で調整する。


MIDI鍵盤と接続
続いてMIDI鍵盤とSunVoxをつなぐための設定。 大前提としてPCとMIDI鍵盤がすでにMIDIインターフェイス等で、つながっていて、他のDAWなどで問題なく使えている状態として次に進む。

MIDIの設定はAudioと同じようにメインメニューからPreferencesを選択。 開いたウィンドウの左からMIDIを選択すると下のような画面になる。 ここではUSB2MIDIというインターフェイスをを選択している。 またOctave offset = -1 にした。これはピアノのC4とSunVoxのC4を一致させたいため。



またignore velocityというのはベロシティを無効にできるボタン。ここでは有効にしておきたいので、このままOKとする。


その他の設定
マウスのダブルクリックスピードが速かったので400msと遅くした。 設定場所は、Preferences >Interface > Double click。 開発者のデフォルトは高速ダブルクリックのようだ。とてもついていけない。





曲作りのための設定

ここからは曲毎に設定する内容となる。

BPM(テンポ)の設定
preference > Project propertiesで設定する。 初期設定は125になっている。 これはTPL(ticks 分解できる最小単位)の値と直結しているので注意。




TPL ティック(Ticks)の設定
SunVoxの場合、ティックを理解していないと困ることになりそうなので整理しておく。 設定は上記と同じpreference > Project propertiesにある。



まずティックとはSunVoxが制御できる最小の時間単位ということ。 これは相対時間なので、設定で可変する。 デフォルトでは16分音符は1ライン = 6ティックであり、1ラインに対して1~31ティックの可変幅がある。 重要なのはBPMの基準である4分音符が、6ティック x 4で24ティックだということ。 決してラインの数を見ているわけではないということ。 視覚的にラインが基準かと思ってしまうので注意が必要なのだ。

例えば120BPMの曲で6ティックだったものを、3ティックに変更したら、倍速で再生されてしまう。 そういうこともあって、よく分からないうちは、 ティックは始めに決めたら、いじらない方がよさそうだ。


パターンエディターの設定
パターンの小節数や音符の分解能などをを設定する。 デフォルトでは下のように0から31の32行が用意されている。 1行16分音符扱いになっていて、2小節分となっている。 そして横軸には、1、2、3とあるが、一番左は0なので、全部で4トラック分ある。



行数やトラック数を変更させたいときは以下のパターンメニューから入る。



メニューをクリックすると以下のようなリストが表示されるので、Pattern propertiesを選択。そうすると下のようにPattern propertiesウィンドウが表示される。



行数はNumber of linesで、下の数値から選べる。ここでは16,32,64,128,256,512が並んでいるが、固定というわけではないようだ。 また任意の数値にすることも可能。とくに3/4などの拍子をやりたい場合は4分音符x3個 = 12 など任意の数値を入力する必要がある。 そのときはEnterを押さないと適用されないので注意。右にあるプラスマイナスアイコンをクリックする場合は即時適用されるようだ。

Number of tracksは、トラックの数を調整できる。1~32までの調整が可能。 基本トラッカーなので、和音を演奏したい場合は、和音の数だけトラックが必要になる。



3連系をやりたい場合
デフォルトだと4/4の2小節分で、4行4分音符区切りで、行の強調表示もそれに合わせているので、3連をやるにはちょっと使いにくい。 そこで、ティックとライン数などを使って調整し、4/4で3連の2小節分にしてみる。

まずはメインメニューからProject propertiesを開いて以下のように設定。

TPLはBPMとの辻褄を合わせる必要がある。 24ティックが4分音符に相当するので、24/3=8となり、TPLを8に設定する。 これで3行分が4分音符となる。

Time gridは行の強調表示で音には直接関係ないが、見やすくするためには重要な要素。ここでは3連にしたいので、3とする。これで3行ごとに強調表示される。

またTime grid2は、Time gridを基準とした、もう一つの強調表示。通常小節区切りで使うものなので、ここではデフォルトのままとする。そうすると以下のようになる。



これだと2小節よりも、2拍ちょっと長くなってしまう。 そこでPattern properties > Number of lines で、 下のように24にすれば、2小節分となる。



これで4/4で3連の2小節分となり、BPMもちゃんと4分音符分となっている。



MIDI鍵盤からのリアルタイム録音

まずメトロノームの設定をした方がいい。メインメニューから Preferences > Recoding > Metronomeをクリック。 volume 50%もしくは100%にすると録音時にメトロノームが鳴るようになる。 録音したデータは、新たなパターンとして録音される。

しかし、うちの環境ではドライバをASIOするとメトロノームが鳴らなかった。 DirectSoundとかにすれば鳴るのだが、音が遅れすぎて、リアルタイムは無理。 結局、モジュールのDrumSynthをメトロノーム代わりに使うことにした。 これなら問題ないし、メトロノームも裏打ちとか自由に設定もできる。

リアルタイム入力だと、やはり作業がはかどる。 特に和音や頭の中のメロディーなどを再現する場合は圧倒的に速い。 ドラムとかリズム系はステップでも、不自由は感じない。 しかしリアルタイム入力だと当然ちょっとズレるのだが、そのズレはパターンエディタのEEのところに16進数で表現されている。下のようになる。コードCでドレミを鳴らしているので自動で3トラック使用している。手で入力したものなので、多少のばらつきが出ている。VVのところはベロシティだが、これも当然ばらついている。よく見るとドレミの順番も一定ではないね。  



音の遅れのEEは、0%(40)~ 96.875%(5F)までが範囲。

この数値を消してしまえば、遅れをなくし、すべてジャストにすることができる。 疑問に思うのはティックとの関係。 普通ティックは最小分解能だから、その単位よりも細かくできないと思う。

ということで実験してみた。 ティックを1に設定してみると、どんな数値をここに入れてもジャストで鳴った。 またリアルタイムで打つとズレてもジャストになった。これってクオンタイズ的に使えると思った。 やはり定義通りティックが分解能と考えてよさそうだ。 好きな数値は手動で入れられるものの、設定されているティックに合わせて一番近いところで鳴るようだ。 だからこの数値を使って微妙なタイミングを狙いたい場合はティックの分解能を上げてやる必要がある。



モジュール(音源やエフェクター)の配置

音源やエフェクト等を配置する領域となる。



接続は最終的にはOutputへつなぐ。そうしないと音は出ない。 切りたい場合はつながっているモジュールの一方からもう一方へshift + ドラッグすれば切れる。

この部分はソフトモジュラーシンセなので、実に奥の深い部分。 シンセサイズの基本を知らないとちょっと厳しいかもしれない。 オシレータやフィルター、エフェクターをつないで音源を作っていくのだが、 SunVoxは自己完結の作曲ツールなので、必要な音色分作る必要がある。 それでも使い方自体は割と素直なので、すぐに慣れると思う。自分でうまく作れない場合は、サンプルを参考にするといい。

モジュラーをクリックすると、横のコントローラに設定等が表示されるが、その上の方に V B M S とある。 これは順に V:ビュー切替、B:バイパス、M:ミュート、S:ソロ となっている。 とくにバイパスとソロはよく使うと思うので挙動を紹介しておく。


下は音が鳴るモジュールは3つあり、各モジュールに音が入った時波形が表示される。
09モジュールをS:ソロにした場合は、ほかの2つは鳴らなくなる。
機能が停止したモジュールは黒くなる。
この辺のインターフェイスもさすがである。音の確認が視覚的に出来て、どういう状態になっているかが一目瞭然なのだから。


音源に接続されている途中のエフェクトを一時的に機能させたくない場合はB:バイパスを使う。
下は09を鳴らして、06、03をバイパスした状態。
機能は止まっていても、音を通過させることができる。


下は03をM:ミュートした場合の図。09を鳴らしているのだが、03で音が止まって、Outputまで届かないので、音が出ない状態。




タイムライン

パターンを配置し曲を構成するところで、ややこしいことは特になく、わりと素直だと思う。 横軸は時間なのでグリッドにちゃんと合わせる必要があるが、縦軸は自由に配置しても問題ない。



仕様として曲が再生し終わったら切れずに最初に戻って再生する。 この辺はトラッカーらしく、ゲーム音楽に強い仕様という感じ。 曲を延々ループ再生するのが基本。

またパターン再生をしているときに、普通の再生ボタンを押すと、そのままパターンから抜けて曲が進む。 スムーズに移行していくので、これならリアルタイムのパフォーマンスも出来るのだなぁと思った。



SunVoxやはりいい

ということで、はじめに疑問に思って調べたり試したことを、ここに書いてみた。 とくに音符、拍子、小節の設定や、ティック絡みの部分が、試さなければ、よく分からなかったところ。

まだトラッカーのステップ入力に慣れていないのだが、ドラム打ち込みは使いやすいと思っている。 しかし、和音やメロディはとてもステップで打ってられないので、今のところリアルタイム+エディットという感じ。

改めてSunVoxは、よくできていると思った。作業効率もよいし、気軽に始められる良さがある。 そのうち、気が向いたらモジュール関連の記事を書こうと思う。 問題は、生演奏する人が使うべきツールは、SunVoxではなくて録音できるDAWだろ?ということ。 使い分けを考えないといけない。