2016/12/03

VSTi DEXED (DX7クローンFM音源)

人工的な音作りをする必要があり、DEXEDというVSTソフト(フリー)をゲット。80年代に一世を風靡したYAMAHAのDX7のクローンで、当時のデータをそのまま利用できるらしい。YouTube等で音を聞くと、実機とほとんど同じ音が再現され、その忠実ぶりに驚く。ヤマハが情報提供したとは思えないので、解析して作ったのだろうけど凄すぎ。

シンセサイザーはアナログから始まって、80年代からFM音源等のデジタル音源が登場し、その後メモリが安くなるとサンプリング主体のPCM音源となっていく。他にアナログをデジタルでシミュレーションするようなものや、バーチャル音源などがある。個人的にPCMが一番面白くなく、他はそれぞれに魅力を感じる。特にFM音源は、リアルタイムに音を生成するところと、音のバリエーションに比較して、エコノミーなシステムなのが気に入っている。


DEXED

カラーはパネルのこげ茶と、独特な青緑でDX7をなんとなく継承している。
https://asb2m10.github.io/dexed/


オリジナルDX7。80年代を代表するシンセでデザインも時代を感じさせる。本体は写真では黒に見えるが、こげ茶。独特なボタンの色がいい。今時のシンセと違い、モノラルでエフェクト非搭載。音は12bitで生成されている。DEXEDもエンジンを切り替えることでDX7を再現している。

実は初音ミクのデザインモチーフはDX7で、カラーはモロです。世界一売れたシンセと世界一売れたボカロですね。・・・後からWikiを見たら、世界一売れたシンセはKorgのM1ぽい。それでもDX7は10万前後は売れていそう。

今回の目的は楽器としてよりも、効果音的なものを作ることなのだが、まぁちょっとしたBGM的なものにも利用しようと考えている。 FM音源の基本原理は知っているものの、いざ音を作るとなると、簡単な話ではない。本番に向けて、まずは1ヶ月間ぐらい、あれこれいじってみることにする。


FM音源の情報は意外とある

音のつくり方を調べようと思って、ネットを検索すると、世界中にDX7マニアがいることがわかった。当時の音色データも入手可能。 FM音源についても情報は意外と豊富で、日本語の解説もあちこちに存在する。YAMAHAでDX7のマニュアルも入手可能。 これならあまり苦労しないかも。

また最近ヤマハがreface DXなどを発売していて、かつてのDXユーザーを喜ばしているようだ。 それにしても、この10年ぐらいシンセの進むべき方向が見えないで迷走しているようにも見えるが・・・


付属ROMの音

DX7と言えばエレピの音が有名で、当時のポップスでは頻繁に使われていた。まずは、その音を聞いてみたいのでネット上からDX7のROMデータを入手してみた。DX7本体に内蔵されている音色は以下の32音。

本体内蔵音色は電池が切れると消えてしまうようで、カートリッジROM(64音色)が付属されていたようだ。本体の読み込めるのは32音色なので、カートリッジはカセットやレコードのようにA(32音色),B(32音色)に分けてある。

YAMAHA DX7 ROM1~4 syxファイル

下サンプルは有名な11番のE.PIANOをDEXEDで再現してみたもの。録音に失敗して音が割れてしまったが・・・まぁなかなかいい音。ちなみにすっぴんの音ではない。DX7はモノラルでリバーブのようなエフェクトも搭載されてない。だからすっぴんでは、あれ?という音になるので、エフェクトは必須。

次はエフェクトなしで、25番のTUB BELLSの鐘音を使った学校のチャイムを真似てみた。FMならではの音という感じ。このチャイムは本来アコースティックだけど、現在は擬似的にFM音源を使っているようだ。



DEXEDの使い方

音作りの前に音色の保存について。DEXEDは説明書のようなものがなくて、はじめ音色のコピーすら判らなかった。 方法はCARTボタンを押して、下のようなウィンドウを開く。下のリストは内蔵音色に相当する現在アクティブな音色。syxファイルをダブルクリックするとロードされる。横リストはワンクリックすることで、表示されるリストで、ロードはされない。この横リストから、下リストへドラッグ&ドロップすることで、内蔵音色に追加することができる。


DEXEDのパネル説明

下はDEXED独自の部分。
cutoffreso(レゾナンス)が特徴。出すぎた高域を削ったり、そのポイントに特性を持たせることができる。
tuneはチューニング。
levelは出力音量の調整。
middle Cと書かれたノブは、基準となる音の設定。トランスポーズとして利用可能。
monoスイッチはONにすると単音モード、ポルタメントとなる。
音色の切替や、保存などもここで行う。


音作りの基本となるオシレータ。同じものが6個ある。

det(デチューン)(±7セント)は基準周波数に対してセント単位でピッチを微調整するノブ。
coarse(0.5,1~31)は基準音ピッチの設定。横のスイッチをratioにすると、基準ピッチに対しての比率になる。fixedになると固定周波数になる。
fineはピッチをプラス方向で調整することが可能。coarseの値によって調整幅は違うが、たとえばcoarseが1の場合は0.01単位で、0.99までプラスできる。
番号横の上下スイッチはオシレータのON/OFFスイッチ。
EG(エンベロープジェネレーター)は8個のノブで構成されている。EG levelは4つのポイントでの音量設定。 EG rateは、時間軸に対しての調整になる。やや挙動がわかりにくいので、いじって慣れるしかない。

A mod sensは、共通LFOの感度調整。
key velは、キーボードからの入力ベロシティを調整する。絞るとベロシティが無効化される。
levelは、オシレーターの出力レベル。
右下のスライダー break point(0-99)は、鍵盤の基準位置を決めるもの。このパラメーターはEG rateの効き具合を音域ごとに変化させるためのもの。ピアノなどでは、中央の音に対して、高域はサスティーンがあまりない。こういう楽器らしい音域ごとの違いを作り出すことができる。
L depthR depth(0-99)でカーブに応じた調整を行う。カーブはいくつか選べる。depthを0にすると、カーブは水平になり効果はなくなる。99にすると、カーブそのものとなる。

下は説明書にあった図。

rate scalingは、rate設定の時間軸を伸縮を行う。


32のアルゴリズムが用意されていて選択することで利用する。アルゴリズムは上記のオシレーターの組み合わせ方法のこと。絵で言うと下から出力されるイメージ。下の32番のアルゴリズムは6つが並列なので、お互い何のかかわりもなく、ミックスされることになる。上下に積み重なっている場合は変調される。四角く囲まれているところはフィードバック可能なオシレーター。

アルゴリズムの一覧。




各オシレータに共通のLFO。主に音の揺れなどを設定する部分。

カーブは以下のものが使える。

P mod sensは全体の効き具合の調整。
speedは、揺れ周期の速度を決める。
delayは揺れ始めの時間を設定する。
PMDはピッチの揺れ幅の調整。
AMDは音量の揺れ幅の調整。
LFO key sync これをONにするとオシレータは常に位相0から発振。DX7は16音ポリフォニックなので17番目の音の扱いの場合に、このスイッチの意味が出てくるようだ。
OSC key sync 上記と同等。


ピッチEG(エンベロープジェネレータ)。各オシレータにおいて、発音から消えるまでのピッチを管理するためのパラメーター。楽器音色にはあまり積極的に使うことはないが、効果音などでは様々な効果が期待できる。

基本的にはオシレータのEGと同じ設定項目だが、levelは音量ではなくピッチなる。4に関しては、やや特殊で、最後の音のピッチと最初の音のピッチは同じになるようだ。


基本となるサイン波の作成

まずは、基本となるサイン波だけを作ってみる。 アルゴリズム32を選択して、6のオシレータのみを使用。他のオシレータはOFFにするか、levelを最小にする。 設定は以下のような感じで、純粋なサイン波だけを出力するようにした。

出来た音(A 440Hz)は、こんな感じで、音の出始めと終わりでプチッと音が出てしまう。これをなくすにはEG rateの調整が必要。


修正した音はこんな風になる。プチ音がなくなっている。上記との違いは、EG rate1 = 70、EG rate4 = 60。


これでは面白みがないので、まずオシレータの中の設定をいじってみる。減衰する音にしてみた。

この音にエフェクトを掛けるだけで、そこそこ使えるようになる。


オシレーター以外のP EG をいじってみる。効果音的な使い方をするならあり。


LFOでモジュレーションをかけて揺れを作ってみる。極端にPMDだけを最大にして使った場合。ピッチだけが揺れる。


次にAMDだけを最大にして使った場合。これは音量が揺れる。


PMD、AMD両方を最大にして使った場合。ピッチ、音量共に揺れる。


もう少し音楽的にする場合は、PMD,AMD共にひかえめにして、音がしてから、しばらくして揺れるような設定にすると楽器ぽさが出てくる。

メロを弾くとこんな感じ。


フィードバックを使ってみる。設定を素のサイン波に戻して、フィードバックを4にしてみる。倍音が増えて音色ががらりと変わる。

こういう音ならアンサンブルの中でも音が通るようになる。


フィードバックを上げて行くとホワイトノイズも作り出せる。ホワイトノイズを作り出したい場合は、fixedにして周波数を固定した方がそれっぽい。




とりあえず、基礎的な操作は以上。 次はFM音源ならではのオシレータを組み合わせた音作りにトライしてみようと思う。


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