cakewalk by Bandlab 電子ピアノをMIDI録音&オーディオ録音

電子ピアノ練習用にCakewalkを使うことにした

今まで、お気に入りのAudacityで録音していたが、Win10の影響で、レイテンシ(遅延)が毎回大きく違うという大問題が発生。ピアノ単独の録音であれば、レイテンシはあろうとなかろうと関係ないのだが、多重録音となると、まったく使えないレベルになってしまった。Audacityを再コンパイルしてASIO対応にするのもよいが、巨大開発環境の構築が必要など、いろいろ厄介なので保留状態。そこで、あまり使っていないCakewalkの出番となる。


MIDI録音&オーディオ録音するためのセッティング

ここでは電子ピアノから出る音を扱い、ソフト音源を使わない。これによりレイテンシの問題を最小限にしようと考えている。

電子ピアノCLP-100をMIDI-USBでPCに接続。
電子ピアノのラインアウトをオーディオインターフェイスに接続。
オーディオインターフェイスとPCをUSB接続。
ヘッドフォンはオーディオインターフェイスに接続。

電子ピアノの音はインターフェイスからダイレクトモニターしているので、ヘッドフォンから出る音はタイムラグがなく、レイテンシはない。
しかしcakewalkのメトロノームを使う場合、レイテンシを考える必要が出てくる。
メトロノームが鳴ったときにジャストでピアノを弾いても、cakewalkにジャストで録音されるとは限らないからだ。もし、ここが曖昧だと、練習のチェックができなくなってしまう。


MIDI録音かオーディオ録音か

電子ピアノを録音する場合、電子ピアノの音をそのまま録音するオーディオ録音と、電子ピアノの演奏データだけを記録するMIDI録音の2通りがある。

Cakewalkを使う場合は、どちらでも可能だが、練習のチェックのしやすさ、後から修正、音源差し替え、データが小さいなど、何かとMIDI録音が都合がよいので、普段はMIDI録音して、オーディオにしたいときは、そのMIDIデータを使ってオーディオ化することにした。


レイテンシはどれぐらいが問題となるか?

PCを使ったオーディオ処理をする場合はレイテンシが問題となってくる。

一番深刻なのはリアルタイム処理したい場合だろう。たとえば、ソフト音源を外部のMIDIキーなどで鳴らしたい場合、鍵盤を押してから音が出るまでのタイムラグは可能な限り小さいほうがいい。これが大きいと演奏どころではなくなってしまう。

また、エレキギターなどのアンプ部をソフトで代替する場合も深刻。実際弾いた後に、音が鳴り出すことになるので、レイテンシが大きいと気持ち悪くてしかたない。

これらの対処方法はレイテンシを可能な限り小さくするしかない。最高スペックのPCと、最高スペックのインターフェイス、レイテンシ対策されたソフトウェアという感じだろう。ちなみに音速を340mとした場合、msecのズレをリスナーとスピーカーの距離で例えると以下のようになる。

1000msec 340m
100msec 34m
10msec 3.4m
1msec 34cm

なんとなく10msec以下でないと厳しそうな気がする。例えばテンポを120とすると、4分音符は500msecの長さになる。16分音符では125msecの長さ。レイテンシが100msecもあったら、16分音符ほど遅れてしまうのでかなり問題。実際には音を聞いて鍵盤を弾くので、遅く音が出る場合、その分早く弾くので、妙な癖がついてしまう。それもよろしくない。

またPCでオーディオを再生して、それに合わせて録音するような場合もレイテンシが問題となるが、これは再現性(毎回同じサンプル数遅れる)があれば、対処は簡単で、録音後に位置合わせすればいい。CakewalkなどのDAWは、この調整ができる。


MIDI信号のレイテンシ

これは簡単にはチェックできないが、原理的にはほとんど問題ないはず。実際録音しても問題を感じることはなかった。たぶん1msec以内だと思われる。



オーディオのレイテンシ

cakewalkのメトロノームの音をオーディオインターフェイス経由で鳴らし、マイクでそれを拾って、オーディオインターフェイス経由で戻し、別トラックに録音したところ、48000Hzの24bitで959sample(20msec)の遅れがあった。
環境設定>オーディオ>同期とキャッシュ>録音レイテンシ調節>オフセット
に959を入力すればズレは修正される。 もしくは「ASIOのレイテンシ」にチェックを入れれば自動で調節されるが、多少誤差が出てしまうので、どっちみち手動調整は必須だと思う。



MIDI信号出力>再生>オーディオ録音した場合のレイテンシ

cakewalkから録音されたMIDIデータを電子ピアノに送ってオーディオ再生し、それをcakewalkでオーディオ録音したいときに使う。
経路がややこしくなり、レイテンシ問題が深刻になる。入力、出力両方を使うので、上記の録音とは条件がまた違う。流れは以下のようになる。

1 PC:cakewalkで再生。MIDI信号をUSB-MIDIインターフェイス経由で電子ピアノへ送信。

2 電子ピアノ:信号を受け発音。オーディオインターフェイスへオーディオ信号を送信。

3 オーディオインターフェイス:オーディオ信号をデジタル変換してPCへUSBで送信。

4 PC:cakewalkで録音

結果的に一番レイテンシーが発生した。インターフェイスのレイテンシーがnormalのとき35msec程度。多重録音の際には気をつけないとズレてしまう。 またエフェクトなどを掛けると、さらに遅延が発生することになる。 電子ピアノの音を使う場合と、VSTiなどのソフト音源を使う場合でも違ってくる。 また気分でエフェクトをかけたりするので、その都度遅延をチェックした方がいい。


これでCakewalkを使ったピアノ練習が可能

今までCakewalkは、ほとんど使っていなかった。個人的には生録ぐらいしかしないので、用途的にオーバースペックで、大げさに思えていたのが原因。でも、いろいろ使えるDAWは習得しておいて損はないだろうということでトライしてみた。ピアノの練習に使うだけでは、もったいないので、今後曲などを作って多重録音してみようかと思っている。