Cakewalk Sonitus fx Compressor, Multiband

Sonitusプラグインはcakewalk社がUltrafunk社を会社ごと買収して得たプラグインで、DirectX Audio Effects (DX)となっている。 cakewalkに入っているSonitusシリーズのオーディオエフェクトは、どれも古臭いUIだが、機能的には真面目な作りで正確に機能する。機能に忠実なパラメータが並んでいるので、基礎を学ぶ意味でもよいエフェクトだと思う。

Sonitus fx Compressorは、Cakewalk標準コンプ。他にバリエーションとして帯域ごとにコンプを掛けられるMultiband版もある。 コンプに必要なパラメータは一通り揃っていて設定した通りに動作する。

サイドチェインで利用することも可能。サイドチェインとは、別のトラックのレベルに応じてコンプを掛けることができるというもの。

基本的に色付けしないので、原音を変化させたくないときによいと思う。 正統派デジタルコンプという感じで、そこがつまらないと言えばつまらないのだが、実用的ではある。

デジタルの利点を最大限利用していて、先読みバッファによる、アタックタイムを完全に0にできるなど、あらゆるソースに対応できるようになっている。

このコンプは、パラメータも多く、いろいろな使い方ができるので、知識がないと使いこなせないだろう。 プロチャンネルにある実機をモデリングしたコンプは操作つまみが少なく、なんとなくでも使えるが、このコンプはそれを許さない。

Threshold 0~-60dB

幅広いスレッショルド調整が可能。

Ratio 0.4~1~30,無限大

無限大はデジタルらしく、スレッショルドでスパッと切ってしまえる。 面白いのは1以下があるということ。コンプとしては普通ない領域で1よりも小さいと、スレッショルド以上の音を更に増加させることになる。コンプの音量を整えるのとは逆の作用となる。

Knee 30~1,Hard

Ratioを極端に設定しても、この調整を行えば、角ができず歪を緩和でき自然な感じにできる。 パラメータ値はスレッショルドの上下dBとなっている。 リミッター的にピークを切る場合は、Hardなどに設定する。
このコンプは全体的に優秀だが、初っ端の波形だけは、ご多分に漏れず崩れてしまう。先読みなのに残念。
下は12dBで、アタック0、レシオ無限大でカット。そしてKneeをHardにした場合。やはりエッジが出てしまう。そこでKneeを調整していくのだが、完全に元の波形というわけにはいかない。

Kneeを調整しても、この程度となる。


Type Normal/Vintage

ノーマルはデジタルらしく線形のかかり方だが、ビンテージにすると入力レベルが高いとイマイチ圧縮しきれないという、アナログぽさを演出できる。


Gain ±30dB

これは出力のレベル

Outpu Audio/Sidech.

ボタン切り替えで、Audioだと通常出力となる。Sidech.は、サイドチェインで使っている場合の確認用として一時的に使う程度だと思う。

使い方としては、サイドチェイン入力用トラックのコンソールで、SendsをSonitus fx Compressorに指定。このトラックのレベルを使って、コンプの効き具合を調整できるようになる。

そしてSidech.を押した上でSoloで再生する。

こうすることで、どのオーディオトラックをサイドチェインで使っているかを音で確認できる。

Attack 0.0~400msec

先読みゆえに本当に0からつぶすことができる。 また400msecと光学式コンプ以上に、かなり長い設定も可能。

Release 1~4000msec

リリースはマニュアル設定できるが、素材ごとに調整する必要があるので結構難しい。TCRというボタンを押せばオートに切り替えることができる。

Limiter

出力段階で0dBを超えるような場合に、クリップさせないためのリミッター機能。コンプ本体の最終段にリミッターがあると思えばいい。これを使うことでコンプ部と組み合わせて過激な音作りや、カットができる。

TCR

リリースタイムを自動でやってくれるボタン。何も考えなくていいので便利。

multiband


Sonitus Compressorのマルチバンド版。基本的な操作は同じで、5つの任意の周波数帯域ごとにコンプを掛けられる。 バスコンプ的な使い方をしたいときに使うとよいと思う。帯域の広いドラムやミックスなど。

まとめ

コンプそのものを勉強したい場合は、プロチャンネルにあるアナログ系コンプよりも、こちらがおすすめ。一般的なパラメータが並び、設定値通り機能するため。