VSTi u-he Zebra Legacy(Zebra2、Zebra HZ)概要

Cakewalkを使い始めたことをきっかけにソフトシンセも、ちゃんと使ってみたいと思い始めたのが2020年ぐらい。 その前から、たま~にいじっていたDX7のクローンDexedTAL U-NO-62は、万能タイプでなかったので、もう少し高機能なものを探す。 音の良さからu-he TYRELLがよかったが、高負荷のため断念。あとアナログシンセ系なので万能というわけではない。 次にSurgeを試すが、機能的には良くても音があまり好きになれなかった。 次にZebraの簡易版というかオシレータだけのu-he Zebraletteを試す。u-heの音はやっぱり好みだと再認識。 ということで、そのまま有料のZebra2を導入してみた。アナログ、FM、物理、ウェーブテーブルなど、ある意味全部入りシンセ。 今後シンセはあれこれ使わず、これに集中しようと思う。無料だと簡単に浮気してしまうが、有料だとふらふらしなくなる。と思う。

221119
221115からZebra2はZebra Legacyにクロスグレードされた。 Zebra Legacyは、Zebra2とZebra HZ(Hans Zimmer)とThe Dark Zebraパッチのセット。 ここのページと関連ページには、順次Zebra HZの拡張部分も追加していく。

u-he(ユーヒー)(ドイツ)
https://u-he.com/products/zebra2/

Zebra 2.9.3 (revision 12092) release August 10, 2021


Zebra HZ(Hans Zimmer)

ワイヤレス・モジュラーシンセサイザーということで、数多くのモジュールを自由に組み合わせられるので守備範囲も広く、大抵のシンセサウンドはカバーできる。

zebraの歴史

u-he初のマック用モノフォニックシンセzoydが2003年にリリースされ、そのポリフォニックバージョンがzebraとなり2003年にリリース。 そして仕様を大きく変えてZebra2が2006年にリリースされる。 zebra2は15年も前のソフトシンセであるが、バージョンアップされて最新版は2021年となっている。 歴史も古く、世界的にも有名なソフトシンセなのだが、意外と国内ではあまり使われていないような気がする。ネットで検索しても日本語情報はほとんどない。 2016年にDirigentが日本代理店になってからは、国内販売も積極的に行われるようになったので、事情は変わってきたかもしれない。
zebraは2024年中に、Zebra3がリリースされる予定。 Zebra2との互換性はないので、現在のZebra2は2022年11月15日にZebra Legacyとなり、今後もメンテは継続される。

u-he初のソフトシンセ zoyd (32bit AU) 2003年
ちゃんと公式に残っている。今でも環境があれば試せそうだね。
https://u-he.com/products/retired.html#zoyd/


u-he 初代zebra 2003年


Zebra 「シマウマ」という名称がなぜ付いたのか? 推測だがworkhorseという言葉が主力という意味なので、そこから馬になって、シマウマは馬の仲間としては荒れる方なのでシマウマになったのではないかと思っている。u-heの主力製品であるということを暗示しているが、暴れるよ!ということかな?

開発はu-heの社長であるUrs Heckmannによってコア部分のプログラムはされている。他にスタッフが数人という体制のようだ。現在は10数名という、それなりの規模になったみたい。

Zebraは高機能にもかかわらず、CPU負荷が低いため、今時のPCなら、20トラックぐらいに使っても問題ないと思われる。実際10年以上前のパソコンで20トラックは何の問題もない状態。 そして動作は安定している。これらは個人的に重要視したところ。

音質は、さすがu-heで、独特な肌ざわり感が好み。Zebralette4台分を同時に扱うことができ、さらにFM、Comb、ノイズ、フィルタ等を組み合わせることができるため、重厚で深いサウンドが得られる。

u-heにはDivaとReproというバーチャルアナログシンセがあるのだが、あれは本物のアナログシンセの音が出る代わりに、CPU負荷がかなり高くなる。実際試してみたが、ハイクオリティモードではcakewalkにオーディオエンジンを停止される始末。 そういう意味ではZebra2とはだいぶ方向性が違うようだ。Zebra2はPC上での使い勝手の良いシンセの在り方を目指している。 それでもZebraでDivaのような分厚いサウンドは作れないこともない。ただカットオフを回したときの変化などは、やはりアナログモデリングとは全く違う。もっとデジタルっぽい平坦な変化という感じ。 アナログシンセの実機っぽい音と操作性等にこだわるならDivaやReproで、守備範囲の広さならZebra2だろう。

またHaward Scarrのプリセットがよく出来ているので、これを用途に応じて編集するだけで充分実用になる。ちなみにバットマンの劇伴で有名な作曲家Hans Zimmerがヘビーユーザー。ソフトシンセはZebraだけ使っているようなことを言っていた。多くのソフトシンセを使いこなすよりも、万能で優秀な1機種だけを習得した方が効率が良いのだろう。

下サンプルはドラムス以外Zebra2を使ってみた。



学習方法

Zebraの音作りの流れは分かりやすく、マニュアル見れば充分という感じ。インターフェイスもわかりやすいと思う。ワイヤレスなので接続がわかりにくいと思いきや、工夫されていて大きな問題はない。 使っていないモジュールは自動で消えたり、保留状態にできるので、今どのような状態になっているのか把握しやすいのだ。 注意点としてはモジュールが常時接続されているところと、入出力の関係は把握しておきたいところ。

Zebraのパネルの区分は以下のようになっている。

全体の使い勝手はよくても、モジュールの使いこなしとなると一筋縄ではいかない。とても奥が深く難解。こればかりは、いろいろ試す必要がある。 発音モジュールはいくつかあり、これらをそれぞれ習得することからスタートだろう。
  • OSC

    基本的にZebraletteと同等だが、最も難解でとっつきにくい部分でもある。最大4つまで使うことができる。
    詳細はこちらのページ

  • FMO

    これはFM音源のオペレータで、最大4つ使うことができる。 4オペレータということで、DX7の6オペレータよりも少ないのだが、他モジュールと組み合わせられるため、実際はかなり複雑な設定が可能。また音域ごとのゲインをオペレータ毎に細かく制御できるので、DX7と同等以上のエレピサウンドも可能だ。多くのFM音源ではこれができないのだ。ZebraのFMはポテンシャルが高い!  dexed(DX7)との違いを意識しながら習得してみようかと思う。
    詳細はこちらのページ

  • Comb

    くし形フィルターで、自ら発音することも可能。 物理音源の基礎がここにある。 生々しい音が出せるので、弦とか管楽器系には特に相性が良い。
    詳細はこちらのページ

  • Noise

    あらゆる場面で重宝するノイズ。単体で使うこともあるが、他との組み合わせがメインになると思う。
    詳細はこちらのページ
上記の発音モジュールを一通り試した後は、 フィルターなどの加工モジュール、そして変調モジュールという順に各モジュールの掘り下げを行う。 その後はエフェクトとか、マトリクス、アルペジオなどだろう。量的に考えても半年以上かかりそうだ・・・さらにその後は無限の組み合わせという沼がある・・・

たった1台のシンセなのに、学習量が半端ではない。それなりの知識があっても結構大変なのだ。 とても初心者にお勧めできる代物ではない。
その代わりZebraを使いこなせれば、他のシンセは必要なくなるだろう。下は試しにドラム、エフェクト含めてZebara2だけで作ってみた。



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