VSTi TX16Wx SoundFontを読み込んでみる

テストという感じでSoundFont版GM音源をTX16Wxに読み込んでみた。


SoundFont版GM音源を探す

SoundFontはE-MU Systems社が1990年代に規格したもので仕様が公開されているためメーカー以外の一般人でも作れる状態になっている。 そのためGM音源のSoundFontだけでも数は膨大にある。しかし情報が古くてンク切れになっているものも多く、せっかく見つけたものもクオリティ的にひどいものが多く、使えるサウンドフォントを見つけるのは結構時間がかかってしまった。

さらにTX16Wxに読み込めることを前提に探すと、かなり手こずった。できればTTSに近い音が希望だったが、試していくうちに、まともに扱えるという最低条件さえクリアすれば何でもよいという思いに至る。 TX16Wxのマニュアルにはsf2を限定的にサポートとあるので、SoundFontの作り方によってはパラメータが無視されることもあるようだ。ということで、試したサウンドフォントのほとんどはTX16Wxでは扱えなかったという残念な結果になった。

まず使っている譜面ソフトMuseScoreもSoundFontを使っていたので試したら、フォーマットがsf3なので、TX16Wxに読み込めなかった。sf3はMuseSore専用ともいえる圧縮フォーマットなので、これは使えない。以前のMuseScoreで使われてたsf2のリンクがホームページにあったので、それを試してもみるが、SFXの音が途切れたり、オーケストラセットが他ドラムの音で全然オーケストラ用になっていなかったりして、ちょっと使う気になれない。

ということで、ネットで探しまくってみる。そして、ようやくたどり着いたのが元祖E-mu版GM音源SoundFontのEmuAPS8。 他の多くのSoundFontがTX16WxでENVが無視される中、唯一普通に音が出たのがこれ。 この普通に音が出るというのに、感動したのは久々。バランスもそこそこで、変にエフェクトもかかっていなくて、使いやすくまとまっていた。音質は古いSoundFontの継承なので、当然時代遅れ的な音だが、ここでは問題が起きないことの方が重要!  調べてみるとEmuAPS8は、以前E-muの公式ページで無料でダウンロード出来たようだ。 しかし公式サイトは、もはやかつてのシンセサイザーのE-muではなく、ヘッドフォンとかそいうものを扱うブランドになっていた。

SoundFontは亜種が多く、オリジナルを改善したり、改悪したりして、いろんなバージョンが存在している。EmuAPS8も例外なく、いろいろなバージョンがある。そりゃあ元祖だから当然なのだが。逆に亜種しか見つけることが出来なかったというのが現状。オリジナルは散々ダウンロードされ続けたのに、今はどこにも存在しないってどういうこと?

多くのEmuAPS8亜種はTX16Wxでうまく鳴ってくれるが、SoundFontの作り方を間違えていたり、音量バランスがバラバラだったり、いろんなミスやらが目立つものが多かった。そんな中、完成度の高いEmuAPS8亜種を発見。

文字で音楽を奏でるフリーソフト「Muse」を開発されている人で、EmuAPS8もテコ入れしていて、emuaps_gmgs.sf2というものを「Museデラックス版」の音源として同梱している。 ちゃんとプログラムを書ける人がメンテしているSoundFontなので、抜かりないという感じ。はっきり言って他のSoundFontが何かしら重大な問題が発生していたのに対して、emuaps_gmgs.sf2はクオリティコントロールがしっかり出来ていてTX16Wxでも実用上不都合がほとんどない。サイズも9.5MBと小さく使い勝手も良い!

emuaps_gmgs.sf2
http://kato.chobi.net/muse/
9.5MB
305音色, 11ドラムセット
GM・GS互換

GMレベル1は当然そのまま使えて、レベル2のパッチは場所が違うだけで、多分GSの中に全部ある。


TX16Wx SoundFont読込手順

相性問題さえなければ簡単にTX16Wxで扱えるはず。 EmuAPS8系を読み込むまでは、思ったように鳴らなかったが、すべて相性問題だったので。

具体的な手順としては、DLしたsf2ファイルをTX16Wxにドラッグするだけ。あとはPlogram Slotの中で、音色を切り替えていけばよい。マルチティンバー音源として使いたい場合は、Slotを必要数作って、それぞれ使いたい音色を選択しておく。Slotの数は、まぁDAWとかMIDIとかのことを考えると16個以内で扱うのがよいと思う。

下は読み込んだemuaps_gmgs.sf2のPiano 1を選択したところ。割と贅沢にピアノサンプリングされているのが分かる。ベロシティマッピングはされておらず、1音色で対応しているようだ。つまり強弱表現は音量変化だけ。


GMの2番目の音、Piano 2 は、Piano 1 と同じサンプル音を使っていた。 TX16Wx上で見る限り、フィルターの値が微妙に違うぐらいの差で、聞いた感じほとんど差がないね。 こんな感じで、同じサンプル音をあちこちにのパッチで使っていて、全体の容量を小さくまとめていた。 TX16WxでSoundFontを取り込むと、内部情報が見えて楽しい。


パラメータも反映されている

波形をどのように再生するかというパラメータも当然重要でEmuAPS8亜種以外では結構失敗した項目。EmuAPS8亜種はエンベロープがちゃんとサウンドに反映される。これらの項目は気に入らなかったら編集できるので、TX16WxでSoundFontを扱うと痒い所に手が届くようになる。

AEGも反映されている。どうもオフセット値として自動設定されている。半透明が基準値で、SoundFontはオフセット値で水色のカーブ。ノブがブルーではなく、カラフルになっているところは、すべてオフセット値。読込に失敗したSoundFontは、この辺がうまく行かなかったようだ。


LFO / ENV


Modulation


ループ設定などもちゃんと反映されている。


emuaps_gmgs.sf2を使ったノンエフェクトの音。昔のMIDIという感じ。


比較のためTTS-1でエフェクトをOFFにした状態で同じデータを鳴らしてみる。



まとめ

こんな感じでTX16WxでSoundFontを扱ってみたが、結局、目的に合ったSoundFontを見つけるのが一番大変だった。細かく調整するとなると、骨の折れる作業になるが、読み込んで微調整ぐらいなら、かなりお手軽といえる。それにしてもサンプラーは多目的に使えるなぁと感心する。Blogには書いていないけど実験用途とかでは大活躍だからね。