Cakewalk Sonitus fx modulator

積極的に音を加工するときに使うSonitus fx modulator。 いくつものエフェクトを一つにしているので操作は簡単ではない。 プリセットは少ないのでパラメータを理解して思い通りに使った方が、このエフェクトのポテンシャルを生かせると思う。

Sonitus modulatorは、内部構造をある程度理解した上でパラメータをいじる必要がある。コーラス、フランジャー、フェーザーを知っていても、その中身を知らない使いこなせないようになっているので、このエフェクトは厄介なのだ。

前提知識

概要をカセットテープで説明すると、まず下図のように2つの再生ヘッドがある。DrySoundという再生ヘッドは通常の音を再生する。もうひとつのDelayTimeの再生ヘッドはDrySoundよりも少し遅れて再生する。このヘッドが-1~1の間を滑らかに行ったり来たりする。パラメータは、その移動スピード、LFO波形、振幅値が移動距離になる。ステレオであれば、これが2トラックあると考えればよい。

この再生ヘッドの移動で、音はどう変化するのだろうか。テープの進行方向にDelayTime再生ヘッドが移動するときはテープ本来のスピードよりも、ゆっくりになるので、音程は下がる。逆方向に移動するときはスピードが速くなるので、音程が上がる。Dry音と同じピッチは+1と、-1のときで、サイン波を微分して0の位置になったとき。つまり再生ヘッドが一時的に停止した状態のとき。こういう仕掛けで、音程が微妙に上がったり下がったりする。このDelayTime再生ヘッドが3つあって、それぞれがDelayTime位置を0として、0、2pi/3、4pi/3ラジアンの位置からスタートする。グラフにすると以下のようになる。Xが時間で、Yが再生ヘッドの移動量。LFO制御による移動再生ヘッド3つとドライ音を合成すると、微妙なピッチのズレが発生するので、多重演奏的な効果が得られ、コーラスと呼ばれるエフェクトになる。

さらに出力を入力に戻すことをフィードバックというが、それを追加するとフランジャーになる。

フェーザーは、オールパスフィルターを使って、特定の周波数の位相を反転させるもの。人は位相の違いには鈍感だが、オリジナルの音声信号と50%で合成することで打ち消し合って下のようになり、特徴的な音が出てくる。これを利用したのがフェーザー。打ち消し合う周波数が変化するとFlangerと同じようなうなりが生じるけど、やや地味な感じになる。エレピなどにかけると、おしゃれになったりする。


Sonitus fx modulatorには6と12があるが、これはステージと呼ばれていて、合成するとステージ数によって下のような違いが出てくる。




6個のモード

Sonitus fx modulatorには、Flanger、Ensemble(Chorus)、String Phaser、Phaser 6、Phaser 12、Tremoloの6個のモードが入っていて、モードごとに利用可能なパラメータは変わってくる。各パラメーターは、モードごとに中身が変わってしまうことはないようだ。


Flanger


全てのパラメータが利用可能なモード。 フランジャーらしくするには上記設定にするとそれっぽくシュワーンという音になる。ポイントはFeedbackが50以上になっていることだろうか。これが0だとそもそもフランジャーではなくなってしまう。
サンプルはノコギリ波のドライとFlangerを掛けたもの。


Ensemble(Chorus)


Phaseはコーラス専用に固定されて、パラメータはいじれなくなる。 純粋なコーラスとして使用する場合はFeedback0%にするとよいと思う。 これを過度に上げてしまうとフランジャーになってしまう。
ストリングスに掛けた例。


String Phaser


コーラスとフェーザーのハイブリッド構造のようだ。構造的に得体が知れないので使ったことがない。
下はストリングスアンサンブルにかけてみた。エッジのあいまいな音にしたいときには使えるかもしれない。 位相の揺れが起きやすいので、落ち着かないサウンドになりやすそう。地味目な設定の方がよさそう。


Phaser 6


6ステージのフェーザー。 位相の反転による打ち消しを行うので、Mix50%にすると効果が最大となる。 Phase180にすると、LRの動作が半周期ずれるため、回っている感じになる。

Phaser 12


12ステージのフェーザー。ステージが増えると打ち消し箇所が増えて6ステージよりも癖のあるサウンドになる。それ以外は同じ。

Tremolo


いじれるパラメータは最も少なく、もっとも分かりやすいモード。 LFO波形を使って、Rateパラメータの通りに入力オーディオ信号のボリュームを調整。 Phaseパラメータを使って左右のチャンネルのLFOのフェーズの差のバランスを調節。 Mixを調節してエフェクトのかかりかたを調節。



EQ Modeボタン Off、Low Cut、High Cut

処理前の信号にかけるフィルター。

EQ Frequency 0.02 ~ 20.00 kHz (20-20000 Hz)

カットオフ周波数の設定。

Rate 0.00 ~ 20.00 Hz

LFOのモジュレーション・レイト

LFO波形選択


Triangle、Sine、Peak、Peak w/inverted 2nd half、Twin Peaks、Peak/Dip

Phase 0 ~ 180 °

LRそれぞれにLFOがある。そのLFOフェーズの差を調整。0度は同期、180度では半周期分で最大の差となる。 また、PhaseはFlanger、String Phaserモードで、ステレオ信号のとき有効。

Depth 0.00 ~ 15.00ms

ディレイ・タイムの範囲を調節。 結果的に効果の深さになる。

Delay 0.01 ~ 15.00ms

エフェクトが効き始めるまでの時間を設定。

Tapeボタン

公式説明がよくわからないボタン。音色をテープフレンジャー風にできるということのようだ。説明は以下のようになっている。
現在Delayタイム+現在Depth設定の半分によって直接の信号をディレイさせる。 タイム・オフセットでモジュレーションされた信号がゼロディレイでクロスし、フランジャーがついた信号が時々マイナスの値にオフセットされる。アナログ・テープ・フランジャーを連想させるような音を作ることができる。最大の効果を出すには、Mixを50%に設定して、Invert Mixボタンをオンにしたとき。 TapeボタンはFlangerモードだけで使用可能。

Feedback 0 ~ 100%

出力を入力に戻すフィードバック。これにより過激な音が作れるようになる。

Invert Feedbackボタン

フィードバック信号を位相反転。

Crossmix 0 ~ 100%

左右のチャンネルをミックスして、それぞれのフェーズから外れるようにすることができる。 チャンネルをクロスミックスすると、元の音によってはステレオの立体像が広くなる。

Mix 0 ~ 100%

この設定はウェットとドライのミックスバランス。

Invert Mixボタン

ウェットがドライにミックスされる前に位相反転。

Output -inf、-36 ~ 6dB

出力レベルを調節。

Outputメータ -30 dB ~ 0 dB

Outputメータ。