Cakewalk Sonitus fx phase
ステレオ空間の広がりを位相操作によって調整するエフェクト。
注意点としてはステレオトラック専用のエフェクトで、モノラルトラックに掛けても何も変わらない。
下はサイン波に適用した例で、上段が左チャンネル、下段が右チャンネルとなっている。 オレンジ波形がプラス90度で、緑がマイナス90度。マイナスはプラスの波形をそのまま反転しているのが確認できる。
100%以上だと、レベルと位相差が微妙に近づくことで、レベルが上がる方向になる。 下図はサイン波にエフェクトを適用した例。緑が100%で赤に近づくほど20%増となり、最大200%となっている。
下はTTS-1のSine Waveの音だが、素のままだと味気なく、実験には重宝するが、音楽の中で使うには物足りない音色ではある。そこでPhaseを掛けることで多少ゴージャスになる。ディレイと違って、各周波数ごとにフェイズシフトがかかるため、より複雑な波形になっていくところがポイント。左チャンネルに対して右チャンネルが若干遅れるので、やや左の方から鳴っている感じになる。高域になるほど中央に位置するようになる。
下サンプルはオリジナルのSine Wave。
次いでPhaseを掛けたサンプル。
Filter
フィルターは以下の2種類が選べる。個人的には高音質を目指すエフェクトというわけでもないのでIIRで十分だと思っている。FIRは計算量も多く、より高性能ともいえるが、タップ数の関係からか、低音域での動作がよろしくない。- IIR(無限インパルス応答):おそらくオールパスフィルタを利用していると思われる。
- FIR(有限インパルス応答):低音域では右チャンネルの音量が下がる傾向にある。
Mode
ステレオ信号の他にサラウンドも扱えるが、サラウンド環境がないため未確認。 MS処理も話がややこしくなるので、ここでは割愛。- LR Phase:左右の位相差を調整するモード。左チャンネルに対して右チャンネルがPhaseの設定値分だけ遅れる。
- MS Phase:MS処理で位相差を調整するモード。
- CS Encode:サラウンド用。センターを左、サラウンドを右でエンコードするとき使用。
- SC Encode:サラウンド用。CSと逆。
Phase
左右チャンネルの位相差を角度単位で調整する。プラス方向は左チャンネルに対して右チャンネルを遅らせ、マイナス方向は右チャンネルが位相反転する。下はサイン波に適用した例で、上段が左チャンネル、下段が右チャンネルとなっている。 オレンジ波形がプラス90度で、緑がマイナス90度。マイナスはプラスの波形をそのまま反転しているのが確認できる。
Width
100%がデフォルトで、0にすると位相差が0になり、モノラルと同じになる。100%と0%の間で広がりの調整を行う。 下図はサイン波にエフェクトを適用した例。緑が100%で赤に近づくほど20%減となり、最小0%となっている。100%以上だと、レベルと位相差が微妙に近づくことで、レベルが上がる方向になる。 下図はサイン波にエフェクトを適用した例。緑が100%で赤に近づくほど20%増となり、最大200%となっている。
Meter
位相を扱う場合メーターは重要。特にヘッドフォンで作業していると、位相的に危うくても気づかないことがあるので、このメーターチェックと、スピーカーでのチェックは欠かせない。- Pre:入力信号の位相差をメーターに表示。これは音声データのチェックにも使える。90度を常時超えて180度近い音声データは明らかにおかしいなど。そのような音源はステレオスピーカーで聞くと音波の打ち消しが起きているので、気持ち悪いはず。
- Post:出力信号の位相差をメーターに表示。
用途
基本的にはステレオ空間調整用となるので、しょぼい音源を少し広がりを持たせて豊かな音色にするなどが定番的な使い方だろうか。下はTTS-1のSine Waveの音だが、素のままだと味気なく、実験には重宝するが、音楽の中で使うには物足りない音色ではある。そこでPhaseを掛けることで多少ゴージャスになる。ディレイと違って、各周波数ごとにフェイズシフトがかかるため、より複雑な波形になっていくところがポイント。左チャンネルに対して右チャンネルが若干遅れるので、やや左の方から鳴っている感じになる。高域になるほど中央に位置するようになる。
下サンプルはオリジナルのSine Wave。
次いでPhaseを掛けたサンプル。