Cakewalk proCH Console Emulator

微妙すぎてわかりにくいエフェクト。 コンソールのエミュレートなので音が激変してしまっては困るのだが、ユーザーとしては、何がどう変わったか知りたいところ。


Console Emulatorはプロチャンネルにあり、ChannelとBUSの2タイプが用意されている。違いはTRIMのあるなしだけなので、ここでは区別しない。

VUメータ:RMSとPeakの切替式だが、VUと言っているし、スケールはVUメータぽいのにRMSというちょっと残念なメータ。

TRIM:インプットのレベル調整

DRIVE:サチュレーション量の調整。-6~+2dBでは実機を忠実にエミュレート。

TOLERANCE:実機のように、チャンネルごとに、部品のごくわずかなバラつきを作り出すスイッチ。

歴史的に有名な3つのイギリス製コンソールがモデリングされている。

S-TYPE(SSL)


世界中で使われているSSLコンソールはこんな感じ。1970年代からあるSL4000シリーズが有名。

ホワイトノイズを通したときの周波数スペクトル。設定はすべて0。20Hz以下のローカットと、高域はわずかに落ちているのを確認。


N-TYPE(NEVE)


有名なRupert Neveの開発したNEVEのコンソール。SSLと人気を二分する存在。プリセットに88RSとあるので、たぶんそのエミュレート。個人的には元気なサウンドにマッチする印象がある。

ホワイトノイズを通したときの周波数スペクトル。設定はすべて0。20Hz以下をかなり急なカーブで切られている。また耳に敏感な3kHz当たりがわずかに盛り上がっている。元気サウンドの原因のひとつが見え隠れする。


A-TYPE(Trident)


Trident A Rangeコンソール。13台しか製造されなかったレアなコンソールをエミュレート。下写真のTrident Studiosなどで使われている。マニュアルにはNeveコンソールよりも明るい高音と控えめな低音とある。

ホワイトノイズを通したときの周波数スペクトル。設定はすべて0。10Hzぐらいの低域までフラットなのが分かる。特性としてはかなり優秀。



波形で比較

波形の違いがタイプごとにどうなるかチェックしてみた。一番変化が分かるのが矩形波だったので、それを使って、タイプ別に特徴を掴むことができる。






いずれもアタックを強調する方向。その中でもNeveは特に強調している。これは音の印象とも一致している。 この強調は周波数によって大きく変わる。低域ほど顕著で高域はオリジナルとあまり差が出ない傾向。ただし、Neveだけは高域でもそれなりに変形する。この特性も元気サウンドの秘密だね。


結局のところ

周波数スペクトルでは微妙な1dB程度の差なので、おそらく聴いただけでは分からない差。 ただし波形の変形は、結構耳につくので、比較すると分かる。 特にNeveサウンドは判別しやすい。 音響は最終的に聴いて判断するのだけど、微妙すぎる場合は、客観的に判断できるように、積極的にデータ分析して、耳で聴いた印象と波形の関係を結びつけるのもよいことだと思う。