DAW Reaper 試す1

Cakewalk by bandlabが有料化するにあたって、新しいSonarが価格的に妥当と思えなかった場合、他DAWに乗り換える可能性もある。そのため、どんなDAWがあるか、この週末に早速調べることにした。

そもそもDAWは本格的にやるつもりもないのでコスパ優先。毎年万単位で維持費がかかるようなDAWは除外。 また調べていて分かったのだが、どのDAWも容量デカすぎ。100GB近い容量を要求するなんてやめてくれ。 どれもプラグインとか詰め込み過ぎ・・・とくにサンプル音源の容量が尋常じゃない・・・ そんな中、地味なReaperというものを見つける。Discounted Licenseであれば60ドルとプラグイン程度の価格。 何よりも、ほぼ絶滅したDXプラグインが動くとあるので、cakewalk付属のTTS-1(GM音源)が動くかもと思って早速ダウンロードしてみた。 60日間試すことができて、お試し期間が過ぎても起動時に数秒表示が出るだけ? 買わなくても制限なしで使えるらしい? 気に入ったら買います。

またWindows、Mac、Linuxのサポートだけでなく、WinXPなど古いバージョンもサポートしている!

REAPER
https://www.reaper.fm/

起動時のロゴはかっこいい。


ダウンロードサイズはわずか15MB。インストールして本体のフォルダ容量をチェックすると132MB。なんか他のDAWと桁どころか、単位が違うんだが。肥大化するソフトウェアが当たり前の中、このサイズは嬉しい。

付属音源、エフェクト

付属音源は最小限ということらしい。パラメータが並んだだけの原始的な感じのVSTiが3個あった。音楽制作で使うというよりも実験もしくはチェック用に使えそう。


ReaSamplOmatic5000: サンプラー 1サンプルだけ扱えるようだ。ドラムのように複数サンプル扱う場合は、サンプラーを直列して使えばよいのかな? サンプラーは実験には欠かせないので、そういう用途にはバッチリかも。



ReaSynDr:シンセドラム 4音色だけの簡素なもの

音はこんな感じ。



ReaSynth: このシンセは嬉しいかも。単純に純粋な標準波形を出したり、ピッチを微調整したりできる。実験するときには絶対に重宝する。

レビューを書いてみた。


VSTエフェクトは、まぁ普通ポイものが一通り揃っているが、性能は未確認。UIは全然今風ではないけど。 中でもチューナーは気に入った。ギター、ベース、実験用等で使えそうだ。 Manual Crrectionというタグではピッチ修正まで出来るみたいなので、今度試してみようと思う。


FIRというエフェクトもある。こういう技術的にストレートな名前が、売れ線DAWとは違うね。EQも優秀そうで、ダイナミックEQ的に使えるようなのでそのうち試してみようかと思う。



JSエフェクトは100以上と、たくさんある。中身はスクリプト系のテキストファイルということらしい。自作もできるということなので、個人的な時短ツールを作るのによいと思う。下は1175comp。Universal Audio1176をイメージさせる名前なので、そのような振る舞いをするのかな?

中身にアクセスすることも簡単。


音源もエフェクトもすでに満足しているものがあるので、それが使えれば他はあまり必要ない。 cakewalkも付属音源で使ったのはTTS-1だけで、他は容量を圧迫するので削除してしまったぐらい、あまり必要と思わない。ここまで音源が搭載されていないReaperは潔くていい。

TTS-1起動

普通に動いた。下画像はTTSを2個直列した状態。ただし出口のTTSに限ってパネル右上のノブを80%などにしないと先に挿入されたTTSの音は聞こえてこない。完全にエフェクト扱いされている感じ。VSTのシンセだとノブ100%でも問題なく全部鳴るんだけどね。

ついでにcakewalk付属のfxプラグインも使えた。OVERLOUD社のTH3とかBreverbなどはcakewalkのみということで、表示はされるが、動作はしなかった。となるとアンプシミュレーターは何か欲しいかも。

Reaperのホームページを見てみると、開発は2人でやっている? この規模のソフトウェアを2人で? さらに90年代終わりに流行っていたwinampの生みの親だった。明かな天才プログラマーだわ。とにかく超小人数体制で開発しているので、小回りは抜群ということなのかもしれない。資産の引継ぎで上書き上書きで肥大化してしまったソフトとは対極にある。

ルーティングの自由度

TTS-1を使って、cakewalkでやっていた作業が同じように出来るかどうかカバーを作りながらチェックしてみる。まずルーティングの自由度がすごかった。例えばTTS-1の音は薄めなのでレイヤーして音を厚くしたいときがよくある。そんなときにcakewalkでは苦労していたのだが、Reaperではいくつかの方法で簡単に実現できてしまった。単純にTTS-1を直列に配列して、そこにMIDIデータを流すという昔のMIDI機器のような使い方が可能。これは地味に便利。

MIDIノートの編集は同等

cakewalkで、よくやっていたピアノロール上でドラッグするだけで16分音符などを3連や2拍3連にする方法。これと同じことが出来て一安心。altを押すと選択範囲全体が伸縮する。


コード表示

これはcakewalkでも困っていた問題で、マーカーにコード書いたり、アーティキュレーションに書いたりしていた。一長一短でコード書かない場合もよくあった。 個人的には、cubaseのような、おせっかいなコードトラックは不要で、文字でコードが見えればそれでいいのだが、そんなただのメモができないDAWばかりで辛い。

Reaperもコードトラックがないので、Cakewalkと同じ状況なのだが、Regionを使えば多少改善されそう。 上画像がRegionにコードを書いた状態。 本来Regionは曲の構成を示すために使うもので、コードを書くのはマナー違反だが、トラックでも見れるし、下画像のようにピアノロールでもコードが見える。どんな作業をしていても常にコードが見えるというのは個人的に重要なこと。ということで個人的にはこれでいいかも。 ただ、あまり縮小表示してしまうとコードも見えなくなってしまうけど許容範囲。 あとコピペができるのかな? やり方がわからない。 もう少し調べて使い勝手の改善を図りたい。


下のような方法もあるのね。ひとつのトラックを表示専用にして、テキストを入れてしまうという方法。 通常はMIDI itemなどが自動で入ってしまうけど、InsertメニューからEmpty itemを実行すれば、空のitemが挿入され、自由にメモが書ける。 これなら、コピペも簡単で見やすい。ただピアノロールの方では確認できないねぇ。Reaperでは逆にトラック上でピアノロール編集できるので、かなり有効な方法ではある。あと画像まで入れられるのね。柔軟性がすごい。メモは欲しかったので、これは便利そうだ。


ピアノロール上で各トラックを透かして作業

アンサンブルの打ち込みでは必須だと思う。下画像のようにトラックごとに色別で同時表示することができる。 これならcakewalkと同等の作業ができそうだ。


複数プロジェクト

2個のプロジェクト間でコピペができる。これもcakewalkと同等。切り替えはReaperの方がタブで出来るので簡単。

musicxml出力できるのでNEUTRINOもMuseScoreなしでもいける

楽譜機能があって、そこで歌詞を打ち込んでmusicxmlで出力可能。 Cakewalkでも出来たけど、Reaperもできた。 MuseScoreを開く手間が省けるので修正作業が楽かもしれない。 少し試したところ、歌詞がうまく変換できず失敗。今回はとりあえずMuseScoreを使う。

オートメーション

これはなかり気に入った。特にサイン波を描きたいとかそういう用途ではばっちり。オートメーションでこういう自由度があるのは、ほかにBitwigぐらいなんじゃないかな。Bitwigも気になるDAWなので、そのうち試してみようと思っている。

Audacityと連携

波形編集を他のソフトに任せることも可能。特定のオーディオitemを右クリックして、メニューからAudacityを起動し開くことができる。 Audacityで保存すれば、それが反映されているという感じ。Audacityは個人的によく使っていて、自作プラグインもあるので、連携はうれしい機能。ただスマートな連携方法がまだよくわかっていない。

Bitwigとu-he開発のCLAPプラグインに対応

ほとんどのメーカーが、この新しいプラグイン規格に躊躇しているけど、Repaerは動きが早い。 v6.71からサポートされたようだ。 u-heのZebraを持っているので、MIDI2.0と共にCLAPはいろいろ期待したいところ。 たま~に使うサンプラーのTX16WxやボコーダーのTAL-VOCODERもCLAPに対応していた。 使っていないけど人気のVitalもCLAPに対応。 CLAPのよいところは、いろいろあるが、基本的にプラグインのパフォーマンスが向上し、バイパスなどでもリソースを無駄に使わない。またノートごとの細かなコントロールも可能になってくる。何よりもオープンソースで開発者にもやさしいところ。

入出力フォーマット

Wab、Flac、Ogg、MP3、一通りそろっているので困ることはなさそうだ。

Perfomance Meter

詳細なパフォーマンスメータがある。作業ではかなりの数のプラグインを使うので、その動作をチェックする際に役立つ。これって地味に重要だったりする。PDCもここに数値化されるので、何かと細かいところを確認できる仕様だ。


学習しながらカバーを作る

半日ぐらいかけて、Reaperを学習しながら、カバーを作ってみた。 作業的にはCakewalkとほとんど同じように扱えて、やや拍子抜け。

安定動作

驚いたのは作業中ずっと安定動作していて、一度も不具合が起きなかったこと。特にTTS-1の挙動が安定。というのもcakewalkでTTS-1を使っていたときは毎回どこかで、TTS-1が鳴りっぱなりになることが起きていた。ノートを一度にたくさんドラッグコピーしたりすると高確率で鳴りっぱなしになった。またMIDIキーからリアルタイムで打っていてもたまに鳴りっぱなしになった。 TTS-1は古いし、PANICボタンもあるぐらいなので、そんなものかと諦めていたのだが、Reaperでは一切それがなかった。TTS-1との相性がReaperの方がよいじゃんという意外な結果となった。

サクサク動作

やはり動作が軽いような気がする。すべてシャキシャキと動く。待たされたり、もっさりするようなことがない。これは非常に大事なところ。 安定してストレスなく高速に動くって、最高じゃないか。

学習方法

cakewalkもそうだったが、ネットに日本語情報があまりない。ただ英語情報であれば、かなりよい情報があった。 YoutubeチャンネルREAPER Maniaさん。 おそらくほとんどの機能説明がされていると思う。 ここのKenny Gioiaさんは、音楽プロデューサーなので、ちょっとしたサンプルもプロフェッショナル。とにかく説明が適切かつ丁寧で無駄がない。 困ったときは彼のところで検索して学習すれば、大抵のことは何とかなりそうだ。
後日、Reaperの公式でビデオをカテゴリーごとに見れるページを発見。Kenny Gioia大活躍。
https://www.reaper.fm/videos.php

Reaperは、かなり細かなことがいろいろ出来るので、機能把握だけでもそれなりの学習コストになりそうだ。それでも半日程度で今までcakewalkでやっていた作業が出来たのだから、後は補足程度に細かな部分を学習していけばよいと思う。

1日使ってみた感想

予想以上に好印象。Cakewalkよりも使いやすいところもあるし、何よりも動作がキビキビしていて、尚且つ安定している。 痒い所に手が届く仕様らしく、カスタマイズの自由度も高いらしい。

初心者にやさしいDAWにしようという考えはないようで、道具としての追求がされている印象がある。 コンピュータに強い人たちが好む仕様という感じ。とてもマニアックな印象で、売れ線DAWとは傾向が大きく違う。 普段からLinux使っている人とか、プログラミングをやるような人には向いているんじゃないかな?と思った。 総じて個人的に相性のよいDAWではないかと思っている。

cakewalk Sonarが、いくらで販売されるかわからないが、おそらくReaperより低価格ということはないと思う。サブスクの可能性もあるし。となると乗換候補としてReaperは有力。