Cakewalk by Bandlabの学習 ギター録音するため準備

10ヶ月振りのギター練習再開に合わせてcakewalkで録音していこうと思う。 今までギターを録音したいときはAudacityを使っていたけど、今年になってソフトシンセも使うようになったのでcakewalkに移行。 この規模のソフトになると学習が必須なので、備忘録を兼ねてBlogにメモしておくことにした。ここではオーディオ録音と簡単な編集だけを取り上げている。

それにしてもcakewalkは頻繁にバージョンアップしていて心強い限り。 バグフィックスだけでなく、積極的に機能追加もしていて他の有料DAWにも負けていないと思います。 今後も改善されていくはず。ありがたいことです。


ギター録音の流れ

さて、とりあえず下図のようなセッティングで録音することにした。

クリックを鳴らして、それに合わせてアコースティックギターをマイクで録音。 基本オーディオインターフェイスのダイレクトモニターで、インプットモニターはOFFにして使う。 録音後は、音量の調整、フェードイン/アウト、エフェクト処理等して、MP3にエクスポートという流れ。


まずはレイテンシーのチェック

基本的には自動調整。以下の設定にアクセスすれば、現状のレイテンシーがどうなっているのか分かる。

環境設定 > オーディオ > デバイスの設定

自動で大きな問題はないけど、さらに精度を上げる場合はメトロノーム音をスピーカーで鳴らして、それをギター録音用マイクで録音して、誤差をチェックする。計測方法としては、現在タイムをサンプルにすれば、カーソル位置のサンプル数が出る。 下画像では、現在タイムが29となり、小節頭位置とメトロノームの録音位置に29サンプルのズレが確認できる。

下記設定で29サンプルオフセットさせることで、ぴったりになる。
波形表示の目盛りはdBだが、波形そのものはリニアになっているので見やすい。

環境設定 > オーディオ > 同期とキャッシュ



トラックの準備

録音するためのオーディオトラックをまず作る必要がある。

下が作られたオーディオトラック

オーディオインターフェイスに合わせて、設定すれば録音準備は完了。 トラックにある録音待機ボタンを押して、トランスポーズモジュールの録音ボタンを押せば録音が開始される。

録音モード

録音はひとつのトラックにされるが、普通は一発録音ではうまくいかないと思うので、数回録音することになると思う。 そのときにデフォルトのコンピングモードだと1回目の録音と、2回目の録音などを別テイクとして保存されていく。 テイクレーン表示非表示ボタンを押すとトラックの下にテイクが展開される。

各テイクが残っていることで、後から採用テイクを決めたり、比較するのに便利である。 ギターソロとかでは、トラックをたくさん作るよりもギターソロトラック1個の中で、テイクでバリエーションを作った方が管理も楽。 また各テイクのよいところだけを切り貼りしたテイクも作ることができる。

下は3テイク録音した状態。トラックには最終テイクT3が採用されている。


また下のように、各テイクから抜き出して再構成することも可能。


録音モードは「コンピング」の他に「上書き」と「サウンドオンサウンド」がある。

「上書き」は文字通り新たなテイクを作らず、最新録音で上書きされ、古い録音はその時点で消去される。このモードは新しいテイクは作られるのだが、新しいテイクと被った部分の古いテイクデータは消えていく。テープを使った録音に一番近いモード。

「サウンドオンサウンド」も文字通り、トラック上に多重録音していく。テープで消磁させずに録音するようなものだけど、録音のたびにテイクは作られる。テイクのミックスが自動でされている状態なので、後からいくらでも手直しが可能。


トラックの表示

オーディオトラックに波形が表示されるのだが、波形をちゃんと確認したい場合は、下のようにドラッグして高さ方向の拡大縮小ができる。もしくは「ctrl +カーソル上下」


またdB上でマウスを上下にドラッグすると、垂直方向にズームできる。もしくは「alt ctrl+マウススクロール」。


全体表示したい場合は「sift f」すると、時間軸も縦軸も全体が収まるように表示される。
縦軸だけの場合は「f」を押す。
10トラック以上で数分の曲などをやる場合は、ナビゲータを使うとトラック全体の見通しがしやすくなる。

トラックの部分拡大は「alt+マウススクロール」。もしくは「ctrl +カーソル左右」


トラックの時間軸の移動は「ctrl+マウススクロール」。



トラックの垂直グリッド線

拍単位でグリッド線があると、演奏があっているかどうかチェックするのに便利。 下図は上段が垂直グリッド線表示なし、下段が垂直グリッド線表示(1/16)あり。8分弾きをしているが、ちゃんと弾けているかのチェックが簡単になる。

改めて波形で見ると、いろいろ気づくという良さもある。このフレーズの場合はトランジェントの位置がジャストになるように弾いていることに気づいた。ピックをヒットさせるのはわずかに前ということも。

垂直グリッド線の表示切り替えは以下からアクセスする。

垂直グリッド線はコントロールバーにあるタイム分解能の値がグリッド表示される。


カーソルの移動

トランスポートモジュールを使う。

スタート地点に戻るショートカットは「ctrl home」もしくは「w」
録音した最後に行くショートカットは「ctrl end」


プロジェクトの終わりで停止

デフォルトだと、再生がいつまでも止まらないので、ストップを押す必要がある。多くの場合、下のように「プロジェクトの終わりで停止」にチェックを入れた方がよいと思う。また、その上に「停止時に現在タイムマーカーに戻る」にもチェックを入れた方が作業がスムーズにできる場合も多い。



クリップ(トラック)のカット

余分な部分を削除する。削除したい範囲を選択してdeleteを押せば消せる。

もしくは下絵のように任意の位置でクリップを分けることもできる。「alt」左クリック。

さらに、後から範囲を変更したいとなったときには、下のようにマウスでドラッグすれば、消した部分もよみがえる。非破壊の強み。



タイムルーラーの解除

クリップをクリックするたびにタイムルーラーが表示される。気になる場合は「ctrl esc」もしくはクリップの外をクリックで解除できる。


編集 フェードイン/アウト

これをやらないと、最初とか最後でブチっとノイズが乗ることがあるので、地味ながら重要な工程。下動画はフェードアウトを適用しているところだが、トラックの終わりから上側をドラッグするだけでOK。カーソルが三角のアイコンに変わればフェードモードになっている。 斜め線の範囲がフェードアウトの範囲で、最後には音量レベルが0になる。

フェードのカーブはオプションから3タイプが選べる。

3タイプを適用すると以下のようになる。カーブに合った線で、とても分かりやすい。



編集 音量調整(ノーマライズ)

ミックスしないなら、ここで音量の最適化をしてしまってかまわない。メニューからノーマライズを選択。

以下のパネルが表示されるので、最大レベルを設定する。MP3に変換するとか考えると-1.0dBあたりが適当だと思う。

下はノーマライズ前と後。ノーマライズすると最大音が0dBまで増幅される。



MP3出力

コントロールバーのエクスポートか、ファイル > エクスポートから行う。

最近のバージョンアップで、出力設定をかなり細かくいじれるようになった。自動で名前に様々な情報を追加することも可能になった。テンポとか地味に便利かもしれない。また複数のフォーマットに同時保存することもできる。一度設定が決まったら、その方法で毎回保存すればいい。


練習をアップするときは上記の作業ぐらいわかっていれば充分。以下は、もう少し気合入れるときに行う加工作業。


EQ

ミックスでは必須のEQ。 EQは標準でいくつかあるが、プロチャンネルのEQを使うことにした。

展開するとスペクトルも表示されて視覚的にも分かりやすい。ピアノ鍵盤が描かれているところが個人的に好きなところ。性能的にも申し分ないでしょう。スタイルは4つから選べる。詳細は別ページに書こうと思う。

EQを使って無駄な低音をカットする。ミックスの場合は楽器ごとに帯域の住み分けに使う。


コンプレッサー

アコギの練習にはコンプは使わないのだけど、アンサンブルでは欲しくなる思われる。cakewalkには標準で複数の優れたコンプがあるので、それらを好みで使えばよいと思う。

PC76 U-Type(UNIVERSAL AUDIO Urei 1176クローン FETコンプ)
PC4K S-Type(SSL L4000クローン VCAコンプ)
PC2A T-Type(TELETRONIX LA-2Aクローン OPTOコンプ)
Sonitus fx Compressor


リバーブ

PHOENIXVERBを持っているので、それを使うが、cakewalkに入っているリバーブBREVERBもお勧め。

ドライのギター。モノラル。


リバーブをかけるとモノラル音が以下のような音に化ける。ちゃんとした音を作るときには必須。



cakewalkには他にも便利な機能がいろいろある。


ヘルプモジュール

この手の機能は使えないソフトが多いのだけど、cakewalkの場合は、結構使える印象。これなんだろう?と思ったら、カーソルをそこへ持って行けば、ヘルプモジュールに説明が出てくる。 cakewalkの概要さえわかっていれば、あとはこのヘルプモジュール頼みでも何とかなりそう。



オートパンチ(パンチイン/アウト)

カセットMTR時代によく耳にした言葉。テープ録音において同一トラックの一部だけ新たな録音に差し替えるための機能。貧弱なトラック数でやりくりするには必須機能だった。

当時のやり方としては、録音したものを再生して、差し替えたいところになったらスイッチを押すなりして一時的に録音状態にして演奏し、終わり次第すみやかに録音を解除し、また再生状態に戻すというもの。 しかし不慣れだとスイッチのON/OFFのタイミングを失敗して、本末転倒なことがよく起きていた。

デジタルになった現在でも使われているようだ。 ただイン/アウトのタイミングがあらかじめ詳細に設定できるので演奏だけに集中できる良さがある。それに失敗を恐れる必要もなくなった。
cakewalkはコントロールバーにパンチモジュールがある。ここでパンチする範囲を指定してやればいい。

cakewalkには、コンピングもあるので、パンチに頼らなくても似たようなことはできるが、クリップの編集作業を最小限にすることができるので活用したいところ。 パンチした部分は別テイクとして保存され、前のテイクも残っている。