VSTi RC-808 を使ってみる
1980年に15万円で発売されたリズムマシーンRoland TR-808(ヤオヤ)のVSTシンセ版のRC-808。ただ、これはよくあるサンプリングのクローンとは違う。
オリジナルTR-808を開発した菊本忠男さんを中心とした開発陣のAnalog Maniaがソフトウェア化したものなので別格。
しかも無料で提供されている。
RC-808オフィシャルページ
https://rc-808.com/
オリジナルのTR-808の音を再現したプリセットがあるので、それを使ってパターンを組んでみた。MP3にすると金物系の音が変になってしまったけど、雰囲気は昔からある、あの音になっている。妙にドーンとしたバスドラと軽いスネアが特徴的。
ロゴを見るとRC-808は、「Re Create 808」ということらしい。ただ、ロゴのセンスはあまりよくないなぁ。CはOに見えるかもしれないし、ちょっとごちゃごちゃ。 ちなみにオリジナルのTR-808のTはトランジスタで、Rは確かRhythmだったと思う。
個人的にオリジナルTR-808は、80年代にPhil CollinsのOne More Nightや東海林修さんのシンセサウンドの中で使われていた印象が強い。他のサウンドを邪魔せずに気持ちよく裏で鳴っている感じ。下写真はオリジナルTR-808。
仕方ないので、自作FM音源でドラムマシーンを作ろうと設計に入った矢先、2020年8月にVST版のRC-808が出てきた。 これはバーチャルアナログと言えるもので、サンプリングとは違って、容量も食わずプログラムサイズは3.5MBしかない。またCPU負荷も高くない。さらに音色をかなり細かくいじれる。 ということで期待したものの、VST版に不具合があり、まともに使えなかった。 ということで、しばらく放置。
2020年12月にバージョンアップしたので、再びインストールしてみると不具合も解消。 これから、VST版RC-808を積極的に使っていこうと思うが、まずは何ができるのか、いじってみようと思う。 特に音色づくりの柔軟性がひじょうに高いので、その辺りを中心にレビューしてみる。
インターフェイスはシンプルで16個の音をアサインできて、上からLEVEL(音量)、PAN(左右定位)、Inst(名称)、Note No.(MIDIノート番号)にパット(クリックすると音が鳴る)という感じで迷うことはない。
Instをクリックすると音色設定用のエディット・ダイアログが開きディープな話になっていく。オリジナルのTR-808に比べとことん設定が出来るようになっている。
808VinKitOpnCls.allprmなどの音色セットファイルを読み込めば、808のサウンドが得られる。 自分で音色を作らないなら、ここまで分かっていれば使えるようになるので、手軽に扱えるドラム音源と言える。
あらかじめ用意されている音色ファイルの拡張子は、.allprmがセットで、.prmがひとつの音色となっている。 読み込みは.allprmは可能だが、.prmは無理っぽい。常にセット単位で扱う必要がありそうだ。 保存はvstが提供している.vstpresetとして保存する必要がある。こちらもセットでしか扱えないようだ。 cakewalkの場合は下絵のようにVST3メニューから「プリセットの読み込み」、もしくは「プリセットを保存」を使って実行する。
今のところスタンドアローン版で各音色を作って保存し、必要に応じてセット化して、VSTで読み込ませる方法をとっている。VST版だけで各音色の保存と読み込みができるようになるとよいのだが・・・
ちなみにオリジナルの808は1Partialらしいので、それだけでも十分な音が得られることが分かる。金物系やリアルな感じを出したい場合は多めに使うとそれっぽくなる。
各パーシャルは以下のような内部構造になっている。シンセ全般に言えることだが、ある程度使いこなすためにはブロック図をしっかり把握している必要がある。
選択できる波形はSIN、SAW、TRI、SQR、METAL、WIN1、WIN2となっている。 各音を録音してみた。違いが分かりやすいように2秒間一定音量にしている。
SIN
SAW (ノコギリ波)
TRI (三角波)
SQR (矩形波 デューティー設定可能)
METAL (TR-808のシンバル用ノイズジェネレータ。複数の周波数が異なる矩形波で構成されている。後述するMETALLICパラメータで設定。)
WIN1 (ホワイトノイズ)
WIN2 (ホワイトノイズ) 上記とは乱数発生方法が違うらしい。波形的には違いはあまりない。
オシレータの基準となる周波数を設定。
矩形波のデューティー比を設定。
ピッチをセント単位で調整。100上げると半音上がった状態になる。
Amp Env. Depthで、効き具合を調整。
Freq L(1~2000Hz) は、一番低い周波数を設定。
Freq H(1~2000Hz) は、一番高い周波数を設定。
Duty(0~1.0) 矩形波のデューティー比を設定。0.5が等間隔の矩形波になる。下図は周期Tに対するデューティー比TH。
N(1~12) Freq LからFreq Hまでの分割数(対数均等割)を設定。下図は低周波数100Hzと高周波数1000Hzを設定し、6分割した場合の角周波数の分布を表す。
ピッチエンベロープ。時間軸に対するピッチ調整をここで行う。 各ブレークポイントを数値で上記のようにリスト化されるが、Pitch Envボタンを押すと、下記の視覚的なグラフが別ウィンドウで表示される。 こちらを使った方が直感的。グラフはPartial1~8までタブになっているので、切り替えて調整することができる。
横軸は時間で、アタックなどの瞬間の制御が自由にできる。長さは最長10秒まで扱えるようだ。
縦軸はピッチで、1だとNOTE#で設定したピッチになる。 それ以外の値の場合は、基準値に対しての掛け算でよいかと思う。 打楽器はピッチが安定していることはほとんどなく不安定なもの。通常アタックがピッチ高目で、徐々に一定周波数に落ち着こうとする傾向にある。
なお、グラフをはみ出した位置にポイントがある場合は、グラフからではなく、リストで修正をする。
アンプエンベロープ。時間軸対する音量調整をここで行う。基本的にはピッチエンベロープと同じような操作となる。シンセによくあるADSRよりも自由度が高いが、減衰する打楽器用なので、サスティーンはない。
時間軸に対する音量を調整は、オシレーターとVCAの2つがあるが、AMP ENVはオシレーター出力時に適用される。VCAはフィルターを通った後に適用される違いがある。
下記のオレンジ文字のOSCAmpがオシレータで、水色文字のVCAがもう一つのエンベロープ。これら2つをこのウィンドウで操作できる。チャックをいれることで切り替えが可能。
フィルターは7種類から一つ選択できる。
以下の画像は、Freqを500Hz、他を極端に設定した場合の、各種フィルターのカーブとなる。
PKG
特定の周波数のみを持ち上げる。
LPF
カットオフ周波数以下を通す。
HPF
カットオフ周波数以上を通す。
HSV
カットオフ周波数以上を持ち上げる。
LSV
カットオフ周波数以下を持ち上げる。
BPF
特定周波数を中心とした帯域のみを通す。
Notch
特定周波数のみをカットする。
またSERIES(直列)かPARALLEL(並列)を選択できる。
Biquad1もしくはBiquad2のボタンをクリックすると以下の画面が開く。2個のフィルターを同時に操作可能。フィルターのカーブがグラフ化されるので分かりやすい。Partialタブがあり、ここで切り替えて操作することもできる。
Wave Shapingボタンを押すことで、下記画面で編集することができる。入力と出力の関係をいじることが可能。
Biquadの接続方法によって、Wave Shapingの位置は下記のように変わるようだ。
Biquadが並列のときは、下図のようにBiquadの後に入る。
Biquadが直列のときは、下図のようにBiquad1とBiquad2の間に入る。
VCF Envボタン
これを押すと下記のウィンドウが表示される。ここでVCFのエンベロープを設定できる。 時間軸に対して、基準カットオフ周波数を設定していると思えばよい。 これが基準になっていることを頭に入れておかないと、それ以降の動作がイメージできないので注意。
Cutoff(20~7000Hz)(おそらくCutoff offset)
VCFエンベロープを周波数でオフセット設定。最終的には他パラメータとの計算の上で音が出るので、挙動は掴みにくい。
RESO(0~10)
レゾナンス。VCFの中で一番わかりやすいパラメータ。最終的なカットオフ周波数に対して、リップル量を調整。
E.Dep(EnvDepth)(0~1)
VCFエンベロープのカーブの適用度を調整。
V.Dep(VeloctyDepth)(0~1)
ベロシティに応じて、VCFエンベロープのカーブをそのままの形で高くするっぽい。上記のベロシティ版だと思われる。 1.0とかに設定すると、弱く弾くと設定値通りで、強く弾くとカーブの周波数がそのまま持ち上げられる。 強く鍵盤を弾くと高域成分が多めに入いるという感じ。これは個人的に最も重視するパラメータ。 ベロシティは音量だけでなく、音色コントロールも必須だと思う。 下サンプルは、弱~強の音色変化。
THRU
チェックを入れると、VCFは適用されずスルーされる。
VCFパラメータの挙動
マニュアルによると以下のような式になっている。これは直感的ではない・・・
BP = 縦軸(Frequency)
VelocityCutoff =80.5×{(MIDI のベロシティ) × VeloctyDepth} - 3200
カットオフ周波数={1.0 + (BP-1)×EnvDepth}× CutoffOffset + VelocityCutoff
NOTE#は、鍵盤の設定となる。
奇妙なことだが、多くのMIDIキーボードではノート信号のオンオフは行わず、ノートオン+ベロシティ値で行っている。音を止めるときはノートオン+ベロシティ0で止まっていることが多い。
下はハイハットの音をノートオフで止めているパターンで、最後だけ止めずに鳴らしっぱなしにしている。ハイハットの場合はクローズとオープンの関係もあるので、ノートオフをうまく使うことで、本物のようなハイハットのパターンが作れる。
波形を見ると下のようになっている。ノートオフのタイミングでブチ切れることなく、短い時間で減衰している。
2021年夏に、バージョンアップがあって、地味にバグフィックスが行われたっぽいが、まだまだ使い勝手、挙動の不安定など問題ありで、結局使っていない。 ドラム関係も結局Zebra2だけでやりくりすることにした。
RC-808オフィシャルページ
https://rc-808.com/
オリジナルのTR-808の音を再現したプリセットがあるので、それを使ってパターンを組んでみた。MP3にすると金物系の音が変になってしまったけど、雰囲気は昔からある、あの音になっている。妙にドーンとしたバスドラと軽いスネアが特徴的。
ロゴを見るとRC-808は、「Re Create 808」ということらしい。ただ、ロゴのセンスはあまりよくないなぁ。CはOに見えるかもしれないし、ちょっとごちゃごちゃ。 ちなみにオリジナルのTR-808のTはトランジスタで、Rは確かRhythmだったと思う。
個人的にオリジナルTR-808は、80年代にPhil CollinsのOne More Nightや東海林修さんのシンセサウンドの中で使われていた印象が強い。他のサウンドを邪魔せずに気持ちよく裏で鳴っている感じ。下写真はオリジナルTR-808。
導入までの経緯
DAWはcakewalkを使っているので、ドラムが必要な時は付属のSI Drum Kitを使っていた。ただ音を選択するだけで作り込めないので、他のドラムセットを探してみるが、商用ドラム音源は、容量が平気で100GB以上。小さくても10GB程度。 こういう肥大化したソフトは全然使う気がしない。またリアルなドラムサウンドを求めていないし、これらがストレスなく動くほどマシンスペックも高くない。 容量の大きさはサンプルの容量なので、サンプリングでないドラムマシーンを探してみるが、意外にも使えそうなものがない・・・ そういう需要はないのか?仕方ないので、自作FM音源でドラムマシーンを作ろうと設計に入った矢先、2020年8月にVST版のRC-808が出てきた。 これはバーチャルアナログと言えるもので、サンプリングとは違って、容量も食わずプログラムサイズは3.5MBしかない。またCPU負荷も高くない。さらに音色をかなり細かくいじれる。 ということで期待したものの、VST版に不具合があり、まともに使えなかった。 ということで、しばらく放置。
2020年12月にバージョンアップしたので、再びインストールしてみると不具合も解消。 これから、VST版RC-808を積極的に使っていこうと思うが、まずは何ができるのか、いじってみようと思う。 特に音色づくりの柔軟性がひじょうに高いので、その辺りを中心にレビューしてみる。
メイン画面
VST版のメイン画面は実機を継承していてレインボーチックなカラーなどRolandぽさがある。ノブ類は、もろJUCEという感じの見た目。インターフェイスはシンプルで16個の音をアサインできて、上からLEVEL(音量)、PAN(左右定位)、Inst(名称)、Note No.(MIDIノート番号)にパット(クリックすると音が鳴る)という感じで迷うことはない。
Instをクリックすると音色設定用のエディット・ダイアログが開きディープな話になっていく。オリジナルのTR-808に比べとことん設定が出来るようになっている。
パッチの読み込みと保存 VST版
FILEをクリックすると、プリセットをインポートできるようになる。808VinKitOpnCls.allprmなどの音色セットファイルを読み込めば、808のサウンドが得られる。 自分で音色を作らないなら、ここまで分かっていれば使えるようになるので、手軽に扱えるドラム音源と言える。
あらかじめ用意されている音色ファイルの拡張子は、.allprmがセットで、.prmがひとつの音色となっている。 読み込みは.allprmは可能だが、.prmは無理っぽい。常にセット単位で扱う必要がありそうだ。 保存はvstが提供している.vstpresetとして保存する必要がある。こちらもセットでしか扱えないようだ。 cakewalkの場合は下絵のようにVST3メニューから「プリセットの読み込み」、もしくは「プリセットを保存」を使って実行する。
今のところスタンドアローン版で各音色を作って保存し、必要に応じてセット化して、VSTで読み込ませる方法をとっている。VST版だけで各音色の保存と読み込みができるようになるとよいのだが・・・
エディット・ダイアログ 音作り
画面がInstをクリックしたときに開く音色プロパティ。Partial1~8までがあり、それぞれで音色を設定し、右下の方にあるミキサーで、好きなようにミックスできるようになっている。1音色につき8個のレイヤーがあるようなもので、基本的に独立している。 下はPartialの加算イメージ。ちなみにオリジナルの808は1Partialらしいので、それだけでも十分な音が得られることが分かる。金物系やリアルな感じを出したい場合は多めに使うとそれっぽくなる。
各パーシャルは以下のような内部構造になっている。シンセ全般に言えることだが、ある程度使いこなすためにはブロック図をしっかり把握している必要がある。
Oscillator
下絵がオシレータ部。元となる音をここで作り出す。Oscillator WAVE
アナログシンセと同じように、まずオシレーターで元になる波形をWAVEで選択する。選択できる波形はSIN、SAW、TRI、SQR、METAL、WIN1、WIN2となっている。 各音を録音してみた。違いが分かりやすいように2秒間一定音量にしている。
SIN
SAW (ノコギリ波)
TRI (三角波)
SQR (矩形波 デューティー設定可能)
METAL (TR-808のシンバル用ノイズジェネレータ。複数の周波数が異なる矩形波で構成されている。後述するMETALLICパラメータで設定。)
WIN1 (ホワイトノイズ)
WIN2 (ホワイトノイズ) 上記とは乱数発生方法が違うらしい。波形的には違いはあまりない。
Oscillator NOTE#(1~127)
オシレータの基準となる周波数を設定。
Oscillator DUTY(0~1.0)
矩形波のデューティー比を設定。
Oscillator DETUN(-100~100セント)
ピッチをセント単位で調整。100上げると半音上がった状態になる。
Oscillator AE DEP(0~1.0)
Amp Env. Depthで、効き具合を調整。
Oscillator METALLIC
メタリックオシレータ専用のパラメータ。TR-808のシンバル用ノイズジェネレータを模していて、複数の周波数が異なる矩形波で構成されている。その調整をここで行う。Freq L(1~2000Hz) は、一番低い周波数を設定。
Freq H(1~2000Hz) は、一番高い周波数を設定。
Duty(0~1.0) 矩形波のデューティー比を設定。0.5が等間隔の矩形波になる。下図は周期Tに対するデューティー比TH。
N(1~12) Freq LからFreq Hまでの分割数(対数均等割)を設定。下図は低周波数100Hzと高周波数1000Hzを設定し、6分割した場合の角周波数の分布を表す。
Oscillator Pitch Env
ピッチエンベロープ。時間軸に対するピッチ調整をここで行う。 各ブレークポイントを数値で上記のようにリスト化されるが、Pitch Envボタンを押すと、下記の視覚的なグラフが別ウィンドウで表示される。 こちらを使った方が直感的。グラフはPartial1~8までタブになっているので、切り替えて調整することができる。
横軸は時間で、アタックなどの瞬間の制御が自由にできる。長さは最長10秒まで扱えるようだ。
縦軸はピッチで、1だとNOTE#で設定したピッチになる。 それ以外の値の場合は、基準値に対しての掛け算でよいかと思う。 打楽器はピッチが安定していることはほとんどなく不安定なもの。通常アタックがピッチ高目で、徐々に一定周波数に落ち着こうとする傾向にある。
なお、グラフをはみ出した位置にポイントがある場合は、グラフからではなく、リストで修正をする。
Oscillator AMP ENV
アンプエンベロープ。時間軸対する音量調整をここで行う。基本的にはピッチエンベロープと同じような操作となる。シンセによくあるADSRよりも自由度が高いが、減衰する打楽器用なので、サスティーンはない。
時間軸に対する音量を調整は、オシレーターとVCAの2つがあるが、AMP ENVはオシレーター出力時に適用される。VCAはフィルターを通った後に適用される違いがある。
下記のオレンジ文字のOSCAmpがオシレータで、水色文字のVCAがもう一つのエンベロープ。これら2つをこのウィンドウで操作できる。チャックをいれることで切り替えが可能。
Biquad1、2
2個のBiquadタイプの汎用フィルターを装備している。Biquadは2次の計算コスト低めフィルタだが、使い勝手の良い実用的IIR型フィルタと言える。フィルターは7種類から一つ選択できる。
以下の画像は、Freqを500Hz、他を極端に設定した場合の、各種フィルターのカーブとなる。
PKG
特定の周波数のみを持ち上げる。
LPF
カットオフ周波数以下を通す。
HPF
カットオフ周波数以上を通す。
HSV
カットオフ周波数以上を持ち上げる。
LSV
カットオフ周波数以下を持ち上げる。
BPF
特定周波数を中心とした帯域のみを通す。
Notch
特定周波数のみをカットする。
またSERIES(直列)かPARALLEL(並列)を選択できる。
Biquad1もしくはBiquad2のボタンをクリックすると以下の画面が開く。2個のフィルターを同時に操作可能。フィルターのカーブがグラフ化されるので分かりやすい。Partialタブがあり、ここで切り替えて操作することもできる。
Wave Shaping
これを使うことで、波形をアナログチックに変形することが可能。トランジスター的な特性を真似したりすることもできそう。またTHRUすることもできる。Wave Shapingボタンを押すことで、下記画面で編集することができる。入力と出力の関係をいじることが可能。
Biquadの接続方法によって、Wave Shapingの位置は下記のように変わるようだ。
Biquadが並列のときは、下図のようにBiquadの後に入る。
Biquadが直列のときは、下図のようにBiquad1とBiquad2の間に入る。
VCF
音色の時間的変化を設定。独自なので難解なところ。VCF Envボタン
これを押すと下記のウィンドウが表示される。ここでVCFのエンベロープを設定できる。 時間軸に対して、基準カットオフ周波数を設定していると思えばよい。 これが基準になっていることを頭に入れておかないと、それ以降の動作がイメージできないので注意。
Cutoff(20~7000Hz)(おそらくCutoff offset)
VCFエンベロープを周波数でオフセット設定。最終的には他パラメータとの計算の上で音が出るので、挙動は掴みにくい。
RESO(0~10)
レゾナンス。VCFの中で一番わかりやすいパラメータ。最終的なカットオフ周波数に対して、リップル量を調整。
E.Dep(EnvDepth)(0~1)
VCFエンベロープのカーブの適用度を調整。
V.Dep(VeloctyDepth)(0~1)
ベロシティに応じて、VCFエンベロープのカーブをそのままの形で高くするっぽい。上記のベロシティ版だと思われる。 1.0とかに設定すると、弱く弾くと設定値通りで、強く弾くとカーブの周波数がそのまま持ち上げられる。 強く鍵盤を弾くと高域成分が多めに入いるという感じ。これは個人的に最も重視するパラメータ。 ベロシティは音量だけでなく、音色コントロールも必須だと思う。 下サンプルは、弱~強の音色変化。
THRU
チェックを入れると、VCFは適用されずスルーされる。
VCFパラメータの挙動
マニュアルによると以下のような式になっている。これは直感的ではない・・・
BP = 縦軸(Frequency)
VelocityCutoff =80.5×{(MIDI のベロシティ) × VeloctyDepth} - 3200
カットオフ周波数={1.0 + (BP-1)×EnvDepth}× CutoffOffset + VelocityCutoff
VCA Env
振幅の時間的変化を設定。機能的にはAMP ENVと似ているが、フィルターを通った後に適用されるのがVCA Envとなる。それ以外は同じ操作となる。AmpMod
Partial1に対して、任意のPartialの信号を掛け算できる。その任意のPartialからは出力されず、Partial1と掛け合わされて出力される。任意のPartialのレベルは掛ける大きさになるようだ。-Infにしてしまうと音が出なくなる。うまく使うとより打楽器らしい音が手軽に作れる。NOTE#の値がポイントだと思われる。リングモジュレータと考えてよいかも。PARTIAL PAN and LEVEL
各パーシャルのミキサーとなっている。音量及びパンの調整が可能。またソロ(S)、ミュート(M)ボタンもあり、音作りする際には便利。INSTRUMENT
NAMEは任意の名前を付けることができる。NOTE#は、鍵盤の設定となる。
NOTE OFF
truncateをチェックするとMIDIノートオフで発音を停止できるようになる。奇妙なことだが、多くのMIDIキーボードではノート信号のオンオフは行わず、ノートオン+ベロシティ値で行っている。音を止めるときはノートオン+ベロシティ0で止まっていることが多い。
下はハイハットの音をノートオフで止めているパターンで、最後だけ止めずに鳴らしっぱなしにしている。ハイハットの場合はクローズとオープンの関係もあるので、ノートオフをうまく使うことで、本物のようなハイハットのパターンが作れる。
波形を見ると下のようになっている。ノートオフのタイミングでブチ切れることなく、短い時間で減衰している。
STOP PLAY
PLAYでベロシティマックスで再生する。 Repeatにチェックを入れると、下のmsec値に応じてリピート再生が行われる。STOPを押すことで停止できる。まとめ
外観やコンセプトからTR-808をイメージしてしまうけど、 かなり突っ込んだ音作りができるので、大抵の打楽器なら、それっぽく再現できそうだ。 おおよそ音色づくりのための操作が分かってきたので、来年から、ちょろちょろ使っていこうと思う。 試しに佐渡國鼓童の締太鼓風を狙ってみたが、まだ使い方がよくわからず中途半端。2021年夏に、バージョンアップがあって、地味にバグフィックスが行われたっぽいが、まだまだ使い勝手、挙動の不安定など問題ありで、結局使っていない。 ドラム関係も結局Zebra2だけでやりくりすることにした。